疾患・特集

日本の病院で「外国人看護師」が働く日がきた!

「白衣の天使」とも呼ばれ、人命にも関わる重要な仕事「看護師」。もし、あなたが入院したり、診察に訪れた病院の担当看護師さんが外国人だとしたら…?少し想像しにくい話かもしれないが、これが現実となる日が来た。

なぜ、外国人看護師の受け入れが決まったのか

看護師

厚生労働省によれば、全国で今年度必要とされる看護職員の数131万4100名に対し、約4万1600名が不足しているといわれている。どの病院も看護師確保には苦慮しているのだ。その一方で外貨獲得を目指すフィリピンでは、アメリカやイギリスなど看護師不足に悩む国に対し、積極的に看護師を派遣しており、2004年からは日本にもその受け入れを求め、交渉が続けられていた。

時を同じくして、日本国内でも構造改革特区内の病院が、規制緩和による外国人看護師の受け入れを申請するなどの動きがあり、看護師不足対策のひとつとして、外国人看護師の受け入れの是非が問われていた。そしてついに2006年9月、対フィリピンとの経済連携協定(EPA)により、フィリピン人の看護師志願者受け入れが承諾された。

外国人看護師の受け入れ条件とは?

看護師志願者の受け入れを認めたといっても、もちろんだれもが可能なわけではない。まずフィリピンの看護師資格を持ち、3年間の実務経験を持つ人であることが条件だ。

フィリピンの看護師 資格取得までの流れ

来日後は、日本語研修を経て、日本国内の病院で就労、研修を行いながら、日本の看護師資格を取得しなければならない。資格取得までの間は年1回の更新で、3年間の在留期間が認められる。この3年の間に試験に合格し、看護師資格の取得ができれば、日本人看護師と同等以上の報酬が保障され、正式に病院での就業が可能となる。その後の在留期間は上限3年となるが、更新回数に関する制限はない。ただし、その間に看護師資格が取得できなければ、帰国となる。

2007年から実施?外国人看護師、今後はどうなる

看護師

看護師志望者の受け入れは、日本、フィリピン両国の手続きが順調に進めば、2007年はじめにも開始される。志願者第一陣の来日開始後、2年間で400名を受け入れる方針だ。しかし、看護研修、日本語の習得をはじめ、多くの技術、知識取得が必要であることに加え、日本人医師や看護師、患者とのコミュニケーションに対する不安の声があるのも事実だ。そのため支援体制整備や、就労・研修先での周囲のスタッフの協力が重要なカギとなる。

アメリカ、イギリスなどの先進国では、すでに約40%が外国人看護師だといわれている。しかし日本では、外国人看護師がどの程度定着するかはまだ未知数であり、今回の決定が看護師不足の切り札になるとは考えにくい。そのためにも国内での潜在看護師の確保や、看護師の就業環境の改善など、看護師不足の根本的な解決方法を同時に進めていく必要があるだろう。

公開日:2006年11月6日