疾患・特集

あなたの髪は大丈夫?脱毛・薄毛、女性の場合

髪が薄くなる心配は、男性特有のものと思われがちだが、実は女性にも脱毛や薄毛がある。女性向けの育毛剤が各社から発売され、女性用かつらのTVCMが頻繁に流される。薄くなった髪を気にする女性や、脱毛に悩む女性が増えているのだ。そこで今回は、女性の脱毛や薄毛のメカニズムに注目し、対処法を紹介したい。

女性の脱毛・薄毛とその原因

男性も女性も、食生活の乱れやストレス、たばこ、加齢、遺伝などが原因となる点は同じだ。しかし、そのメカニズムや病気にはホルモンが影響するため、男性の場合は頭のてっぺんの髪が薄くなりやすいのに対し、女性は髪全体が薄くなる傾向がある。しかし、薬の副作用などでなければ頭髪全体が抜けてしまうことはない。脱毛や薄毛を一時的にカバーできるかつら(ウィッグ、ヘアピース)などを使用することで、髪の悩みを新しいヘアスタイルへの挑戦と受け止めることも、悩んでいる気持ちを軽くする意味でお勧めだ。

円形脱毛症

円形脱毛症

男女に共通する脱毛症で、年齢や性別に関わりなく起こる。急激に脱毛するのが特徴。
体毛など体全体の毛が抜けたり、円形や卵形の脱毛が1ヵ所あるいは数ヵ所起こるなどさまざまなタイプがある。過剰なストレスが原因と言われてきたが、最近の研究では自己免疫力の低下が原因という説が主流になってきている。脱毛している部分の周辺の毛髪を引っ張ってみて簡単に抜ける場合は、病状が進行中なので、皮膚科の医師の診断を受けよう。

びまん性脱毛症

びまん性脱毛症

「びまん」とは「一面に」という意味。女性の薄毛の悩みに多い脱毛症で、頭の広い範囲でまんべんなく脱毛し、頭のてっぺんは皮膚が透けてみえるようになる。
原因は、老化、ストレス、極端なダイエット、誤った頭髪ケアなどが考えられる。中年以上の女性に多い。もし若い女性で、自分がこのタイプの薄毛ではないかと思い当たる人は、まず生活スタイルを見直しては。

分娩後脱毛症

分娩後脱毛症

出産後に抜け毛が増え、髪が薄くなる脱毛症。
女性の髪は、女性ホルモンのエストロゲンが皮膚のすぐ下にある毛細血管を拡張し、毛髪の成長期を延ばしてヘアサイクルの寿命を延ばしてくれる。そのため、一般的には男性と比べて脱毛や薄毛が少ない。
妊娠すると女性ホルモンが増加するため、毛髪全体の寿命が延びて抜け毛が減る。ところが出産後はホルモン分泌量が通常に戻るために、妊娠で寿命が延びていた髪も抜ける時期を迎え、まとまった量の髪が抜ける。多い人では、出産後2~6ヵ月の間に髪の4割も抜ける場合があるが、通常は1~2年で元に戻る。

ホルモンと脱毛・薄毛

ホルモンと脱毛・薄毛は密接な関係がある。男性の場合、男性ホルモンのテストステロンが関わるが、女性も女性ホルモンの分泌が減り始めると、テストステロンが相対的に増え、抜け毛が増えていく。また、経口避妊薬のピルは妊娠中と同じように、エストロゲンが毛髪の成長期を延長する作用がある。中用量ピルを一定期間内服した後で中止すると、分娩後脱毛症と同じ症状を起こす場合がある。しかし、エストロゲンの量が少ない低用量のピルが避妊薬として認可されてからは、ピルが関係する脱毛症は減りつつある。

意外に誤解が多い、髪の健康知識

●食品添加物は髪が薄くなる原因!?

最近、何かと話題の食品添加物を多く含む加工食品は、脱毛・薄毛の原因となりやすい。なるべく手作りした食事をとろう。

●ワカメが髪を黒くするわけではない

ワカメ味噌汁ワカメなどの海藻類が髪の健康によいという話は、実は江戸時代の迷信。髪に直接必要なアミノ酸が含まれているわけではないからだ。しかし、髪の健康は、体が健康でなければ保てない。たんぱく質はもちろんのこと、バランスのとれた食生活を心がけよう。

●髪から直接栄養は吸収できない

髪は死んだ細胞によってできているため、髪の毛そのものに外から栄養を与えることはできない。外からのケアは、頭皮をマッサージしたり適度なブラッシングで、頭皮の血行をよくすることが望ましい。

●髪は夜作られる

髪の成長を促すには、早めの就寝が一番。肌と同じく、副交感神経が活発にはたらく夜の睡眠中に、最も新陳代謝がよくなり、髪にも栄養が行き届く。

●ブラッシングもやり過ぎは髪を傷める

ブラッシングの目的は、ヘアスタイルを整えるだけではない。髪の汚れを取る。頭皮に刺激を与えて血行をよくし、髪の発育を促す。毛穴から出た皮脂を毛先まで運んでツヤを与えるなどさまざまな効果があり、脱毛や薄毛予防に役立つ。しかし、地肌をこするブラッシングは、頭皮を傷めフケを増やす原因となる。フケが長くたまると毛穴をふさいで、かえって脱毛を引き起こすので要注意だ。

●「一晩で髪が真っ白に」はあり得ない

よく、強いストレスで白髪が一気に増えたという話があるが、黒い髪が真っ白になるには、黒い毛が抜けて白い毛が伸びるまでの時間が必要だ。「苦労すると白髪が増える」説も根拠がない。ただ、白髪を気にし始めると、今まで気づかなかった白髪を発見するようになり、増えて見えるということはあるだろう。35歳前後から白髪が増えるのは自然な老化現象で、元の黒髪に戻すことは残念ながらできない。

公開日:2006年7月3日