食欲の秋。つい食べ過ぎてしまうのが悩みという人も多いのでは?そもそも食欲はどうしてわいてくるのだろう?食欲をコントロールしているのは、脳にある3つの中枢だ。それらのはたらきや過食を防ぐコツ、簡単にできる耳ツボダイエットをご紹介!
食欲の秋。目の前のものがみなおいしそうに思え、ついつい箸が進んでしまう、という人も多いのでは?
太古の昔、人間は長い冬をひもじい思いに耐えながら生き延びなくてはならなかった。したがって、獲物や木の実などが豊富な秋になるべくたくさん食べ、体内にエネルギーを貯めておこうとしたのだ。これは、人間以外の動物や魚、鳥も同じ。しかし、そもそも食欲はどうしてわいてくるのだろう?「食」をめぐる人間の本能に迫ってみよう!
食欲は大きく分けて、脳内にある3つの中枢によってコントロールされている。これらの中枢について、具体的に見ていくことにしよう。
摂食中枢(空腹中枢)は、脳の視床下部にある。血液中のさまざまな物質の濃度を感じ取り、私たちに「もっと食べろ!」と指令を出すのが役目だ。食べたものがエネルギーとなり、血液中のブドウ糖が足りなくなったり、脂肪が燃焼したりすると、その変化をすばやくキャッチ! 脳に「エネルギーが枯渇したから、補給せよ」とサインを送る。
同じく脳の視床下部に位置している。食事によって増えた血液中のブドウ糖量を感知する。このほか、セロトニン、レプチンなどの満腹物質や脂肪、たんぱく質の増加、十二指腸の変化も刺激となる。これら血液中の情報から、「エネルギー量は十分だ」とわかると、脳に「もう食べるな」と命令する。
それでは、お腹がいっぱいなのにもかかわらず、食べ物を見たり、匂いをかいだりすると、つい手が出てしまうのはなぜなのだろう。これは、大脳の感覚中枢がはたらくため。視覚、嗅覚、聴覚などの五感が記憶を呼び覚まし、食欲が喚起されるのだ。大脳が発達した人間ならではの食欲メカニズムといえるだろう。
食欲をコントロールするうえで、摂食中枢(空腹中枢)と満腹中枢のバランスは非常に重要だ。2匹のネコを使い、それぞれどちらかの中枢を破壊する実験を行ったところ、摂食中枢(空腹中枢)を破壊されたネコはやせ衰えて餓死し、満腹中枢を破壊されたほうは食べ続けた挙句、肥満してしまった。つまり、どちらの中枢が欠けても、適切な量の食事をとることができない。
このように食欲は、意外と複雑な脳内ネットワークのうえに成り立っているのだ。
お腹いっぱいのはずなのに、ついつい食べ過ぎてしまう…というあなた。ひょっとして、食欲中枢のはたらきが乱れていないだろうか。乱れたはたらきを正常に戻すためには、食生活の見直しが必要だ。
不規則な食事や「ながら食い」はタブー。決まった時間にきちんと食卓につくのが鉄則だ。また、ゆっくりとよく噛んで食べることも大切。満腹中枢が最もよくはたらくのは、食事をし始めてから15分以上が経過した頃。急いで食べ物をつめこむと、満腹中枢がはたらく前に、必要以上の量を食べてしまうことになる。
このほかストレスがたまって、食欲の暴走へとつながる場合もある。なかなか暴食がおさまらないようなら、適度なスポーツをするなどして、ストレス発散を心がけよう。
耳には、空腹時のイライラを鎮め、食欲を抑えるツボがある。食べることへの欲求を完全にコントロールすることはできないが、心穏やかにダイエットに取り組みたい、という人にはおすすめだ。
●肺点
耳の穴の少し上にあるツボ。ここを刺激すると、視床下部にはたらきかけ、食欲を抑える効果が期待できる。ペンのおしりなどで押してみて、響くような感覚があれば、そこがツボだ。