沖縄ブームの最近、シークァーサーの加工品を見かける機会が多くなってきた。このシークァーサー、美容や生活習慣病予防など、健康効果が医学的に認められ、熱い視線を浴びているのである。
シークァーサーは、沖縄では庭木として植えられるなど、昔から親しまれてきた柑橘類。酸味が強く小さいシークァーサーは、レモンやすだち・かぼすなどのように、ジュースにする、刺身や焼き魚にかけるなどの利用が多い。沖縄で育った人は、まだすっぱいものをみかんのように食べた運動会を懐かしく思い出す人も多いという。
沖縄ブームの最近は、他の地域でも、居酒屋のチューハイメニューや、ペットボトル入りのジュースをスーパーで売っていたりと、シークァーサーの加工品を見かける機会も多くなってきた。というのも、このシークァーサー、美容や生活習慣病予防など、健康効果が医学的に認められ、熱い視線を浴びているのである。
シークァーサーは、ビタミンCやビタミンB1、カロテン、カルシウムなど、美容や健康によい栄養素が豊富に含まれている。しかし、健康効果で注目すべきは、他の果物と比べて含有量が突出している、柑橘系果物に特有のフラボノイド、ノビレチンである。
農業技術研究機構、果樹研究所が2000年3月に発表した調査によると、シークァーサーには、血糖値や血圧の上昇を抑える効果が期待できるということがわかった。また、がんの発症・転移に関わる酵素の合成を抑制したり、老化に関わる酵素の合成を抑制するなど、年齢が上がるにつれ気になるさまざまな病気予防にも、その効果が期待できることも明らかになった。そして、その注目すべき健康効果は、ノビレチンなど柑橘類特有のフラボノイドであるポリメトキシフラボノイドが突出して多いことによるのだ。
がん、関節リュウマチ、骨粗しょう症、変形性関節症、動脈瘤、糖尿病、高血圧、紅斑・サンバーン
さまざまな病気予防、健康効果が認められるシークァーサー。でも、なじみのない果物だけに食べ方がわからないという人もいるだろう。最後に利用法を紹介しておこう。基本的には、レモンやすだちと同じようなもの、と考えればよい。料理や飲み物に酸味をプラスするという使い方が多いが、レモンのような鋭い酸っぱさではない。
手っ取り早いのは、5~10倍に薄めてジュースにしたり、泡盛、焼酎で割って飲む方法。紅茶に搾って入れると少し変わったレモンティーのような味になる。料理に使う場合は、刺身、焼き魚、冷奴などにかけて使うのがおすすめ。また、ドレッシングに混ぜるのもおいしい。しょうゆに数滴搾ると、塩辛さを中和する作用があるため、ポン酢のように使うのもよし、鍋物、炒め物、焼肉など料理のジャンルは和・洋・中問わずなんでもいける。
沖縄は、日本や中国、アメリカの文化から影響されたチャンプルー文化で知られるが、その懐の深さは、沖縄特有の果物、シークァーサーにも現れているのかもしれない。
取材協力・資料提供:(株)沖縄物産企業連合