見るからに体によさそうな濃い緑の野菜ジュース、青汁。テレビや雑誌などで、すっかりおなじみだが、そのバックグラウンド、健康効果については意外と知られていないこともあるのでは?そこで今回は、誕生の背景や栄養成分、美味しい飲み方などを紹介。青汁の正体に迫ってみよう!
人間は太古の昔から植物の持つ力に注目してきた。インドの古典医学アーユルヴェータや中国の漢方医学でも、病気の治癒や健康維持に効果があるとして、さまざまな薬草の活用法が取り上げられている。それだけに、植物の汁を絞って飲む健康法のルーツは古い。平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方」や、16世紀に編纂された漢方医学の集大成「本草綱目」にも、いわゆる「野菜ジュース」の健康効果が紹介されている。
こうした飲み物が、健康ドリンクとしてあらためて見直されたのは昭和18年。第二次世界大戦中のことだ。食糧難で苦しんでいた家族の健康を考え、医学博士の遠藤仁郎氏が、畑に捨てられていた大根の葉をすりつぶして飲ませたのが最初。やがて、遠藤博士はさまざまな種類の葉でジュースを作るようになり、息子の肺炎や妻の急性腎炎までも治癒することに成功した。その後、同氏の研究によって「青汁」の健康効果が実証され、あらゆるタイプのものが全国で愛飲されるようになったのだ。
ビタミンやミネラルなどの栄養素はバランスよく摂取することが大切だが、多忙な現代人はとかく栄養が偏りがち。だからこそ、天然の栄養成分を豊富につめこんだ青汁は、体調不良や疲労に悩む人、美容を考える人にもってこいの栄養ドリンクだといえる。とくに注目したいのは、次の2つのパワーだ!
ビタミンAをはじめとする有効成分が、抗酸化物質を補給。細胞を酸化させ、老化やガン、生活習慣病を引き起こす活性酸素を排除する。
豊富なカルシウムが神経のはたらきを鎮静化。自律神経のバランスを保ち、免疫力を高める。
生ジュースや冷凍食品など、さまざまな形で発売されている青汁だが、自分で作ることもできる。作りたての新鮮な青汁は、栄養分も豊富。ぜひ、自家製青汁にトライしてみよう。
青汁の材料にはさまざまな野菜があるが、もっとも有名なのがケール。ケールはキャベツの原種で、もともと野生の植物だったが、古代ギリシアでケールを食べた羊がとくに成長が早いことが注目され、栽培化されるようになった。その後、ビタミンC不足による壊血病に効くことがわかり、ケールはあっという間にヨーロッパに広まった。栄養成分は非常に優れており、とくにビタミンやミネラルの含有量はバツグンだ。
また、しそ、パセリなどもおすすめ。どちらも料理の彩りなどに使われているが、栄養成分はともにすば抜けている。このほか、キャベツの青い部分、カリフラワーやブロッコリーの外葉、大根の葉、小松菜、水菜などもよい。つまり、濃い緑の葉ほど高い効果が期待できるというわけ。いずれにしろ、どの材料も新鮮なものを選ぶことが大切だ。
濃い緑のほうれん草は、いかにも青汁向きの野菜に見える。たしかにビタミンはたっぷりなのだが、問題はシュウ酸が多いこと。長期にわたって生食し続けると、腎臓結石や膀胱結石といった病気を発症する恐れがあるので注意!
野菜を丁寧に水洗いしたら、ジューサーでジュース状にしよう。ジューサーがない場合はすり鉢でもOK。質のよい青汁を作ることができ、おすすめだ。
※作り方については、製造者によってさまざまな方法、意見があります
飲みにくいときはレモンや夏みかん、蜂蜜を入れると飲みやすい。ただし、りんごやにんじんはビタミンCを壊す成分を含んでいるため、一緒にジューサーなどに入れて絞らずに別々に絞っておいてから、あとで混ぜて飲むとよい。牛乳もOK。また、意外にもサラダ油を2、3滴入れても飲みやすくなるので、ぜひお試しを。