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ラベルの裏に薬機法あり!薬機法における「医薬品」の定義

私たちが普段口にする薬や、肌に直接つける化粧品などは、「薬機法(旧:薬事法)」という厳しい法律によって、原料、製造方法、ラベルに表示すべき内容まで、細かく規制されています。何となく聞き覚えのある「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」などから、薬機法とは何か?覗いてみましょう。

薬機法とは

シャンプー、歯磨き剤、シェービングローション、乳液…。手当たり次第、容器をひっくり返して見てみると、その中に「医薬品」もしくは「医薬部外品」と四角い囲い付きで表示されているものはないでしょうか?あればそれは、薬機法で効能・効果が認められているものとなります。
このように、ふだん私たちが口にする薬や、肌に直接つける化粧品などは、「薬機法」という厳しい法律によって、原料から製造方法、ラベルに表示しなければならない内容や、広告の表現までキメ細かく規制されています。
ですが、私たちは、この薬機法についてどのくらい知っているでしょうか。例えば「医薬品」はわかっても「医薬部外品」とは何でしょうか?どう違うのでしょうか?今回は、そんな素朴な疑問から薬事法の概要に触れてみましょう。

まず、「薬機法」という法律について。この法律は、戦後まもない昭和23年に公布されて以来、何度か改正されてきました。目的は、以下のように定められています。

「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。」

では、上記で取り上げられている「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」のそれぞれについて、その定義と具体的な例を見てみましょう。

医薬品とは

医薬品とは、文字通り、病院で医師が処方してくれる薬や、薬局・薬店で市販されている風邪薬や頭痛薬などのこと。
配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる薬を指します。
テレビCMなどでよく「用法・用量を守ってお使いください」と言っているように、体に作用する有効成分が入っているため、使う場合には使用方法を守るのが鉄則となります。

薬機法における「医薬品」の定義

薬機法抜粋
第二条第1項
  • 日本薬局方に収められている物
  • 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
  • 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
主な該当商品
  • 医師が処方する薬
  • 薬局で買える風邪薬、胃腸薬、目薬、滋養強壮剤などの市販薬

医薬部外品とは

医薬品ではないが、医薬品に準ずるものです。
つまり効果・効能が認められた成分は配合されているが、それは積極的に病気やケガなどを治すものではなく、予防に重点を置かれたものといえます。対象となる物もはっきりと定められています。
また、効果そのものも誰にでも必ず認められるというものではなく、効果が期待できるという範囲。この作用の違いが、医薬品との大きな違いです。

とはいうものの、微妙なポジションにあるという感覚は否めない。ラベルなどにしても、医薬品は「効能・効果」が明確に表示されているのに対し、医薬部外品の多くは単に「医薬部外品」とあるだけ。配合された何の成分に、どんな効果が期待できると認められているのかは不明なのだ。

ただし、「表示指定成分」として、アレルギーなどの皮膚障害を起こす可能性のある成分名だけは表示が義務づけられている。これだけでも安心材料ではある。

薬機法における「医薬部外品」の定義

薬機法抜粋
第二条第2項
次の各号に掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの。
  • 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
  • あせも、ただれ等の防止
  • 脱毛の防止、育毛又は除毛
主な該当商品 薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品、薬用石けん、他

化粧品とは

2001年4月に大きく規制緩和されたのが化粧品です。その主旨は、これまで個々の商品で必要だった厚生労働大臣の承認・許可を廃止し、各メーカーがその責任において自由に化粧品を作って良いかわりに、使った成分はすべて表示すること、というものです。
これにより、私たちユーザーはメーカーが開発した新しい化粧品を従来より早く手にすることができるようになったのと同時に、使われている成分をすべて知ることができるようになりました。
もちろん、各メーカーの責任で自由に作って良いと言っても、どんな成分を配合しても良いというわけではなく、配合可能成分が指定されていたり、配合禁止成分などがあり、安全性は十分に重視されています。

薬機法における「化粧品」の定義

薬機法抜粋
第二条第3項
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
主な該当商品 石けん、歯磨き剤、シャンプー、リンス、スキンケア用品、メイクアップ用品

医療機器とは

医療機器には、実にさまざまな物が含まれています。例えばガーゼや脱脂綿といった小さな物や松葉杖や車イスなども医療機器です。
また、磁気ネックレスや電気マッサージ器といったものも、体への作用を効果として訴える以上、医療機器となります。

薬機法における「医療用具」の定義

薬機法抜粋
第二条4第項
この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
主な該当商品 メガネ、コンタクトレンズ、体温計、補聴器、磁気治療器、電気マッサージ器
公開日:2002年9月30日