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運動、森林浴、きのこ収穫の一石三鳥!きのこ狩りに出かけよう

行楽シーズンの今こそ、きのこ狩りに出かけよう! 運動、森林浴効果と一石三鳥のきのこ狩りをご紹介。また、注意点も。

脚力の鍛錬に加え、森林浴効果

森林浴

さぁ、行楽の秋。家の中にじっとしているより、戸外が気持ちのいい季節。ならば、一石二鳥、いや運動と森林浴、きのこの収穫の一石三鳥を狙って、きのこ狩りに出かけよう。

よく言われる森林浴効果は、植物が発散する揮発性物質フィトンチッドによるもの。これは植物が種の保存のため、有害な菌類や植物が入り込まないように発散している物質で、人間にとっては自律神経の安定に効果があり、肝機能の改善や、心地よい睡眠をもたらす作用があるといわれている。 さらに、それ以外にも、樹木によっては、下の表のような効果を、私たちの体にもたらしてくれる。また、運動についての効果は言わずもがなのことばかりだろう。特においしいものが目白押しのこの季節には、少しでも運動量を増やしていきたいものだ。

森林浴による効果

樹木&植物名 成分 はたらき
ヒノキα-カジノール虫歯予防
クスノキカンファー局所刺激、清涼
バラシトラール血圧低下、抗ヒスタミン作用
タチジャコウソウチモール去痰、殺菌
マツ類テレピン油去痰、利尿作用
ヒバ、タイワンヒノキ、ネズコヒノキチオール抗菌作用、養毛
トドマツ、エゾマツボルネオール眠気覚まし
ハッカメントール鎮痛、清涼、局所刺激
みかん類の果皮、ローソンヒノキリモネンコレステロール系胆石溶解

※木の香りの生理活性
出典:「森林の不思議」 谷田見光克著 現代書林

さて、本題のきのこだが、狙い目のスポットは、近くなら神社の裏山や、樹木の多い大きな公園。きのこは、種類によって木の根元から生えるもの、草地に生えるものなどさまざま。とにかく地面をよく見て歩くことがポイントだ。また、ひとつ見つけると、近くにまだまだ生えていたりもするので注視したい。
近場できのこを見つけて、きのこ狩りの楽しさを知ったら、遠出もしてみよう。発見する喜びはひとしお。まして、おいしいのだから、やみつきになりそうだ。

松茸に出会える確率は数万分の一以下!?

きのこといえば、松茸を見つけたい!と思うのは人情。だが、これはかなり難しい。というのも、食品売場で見る通り、国産の松茸は市場でもわずか5%あまり。ほとんどが中国などからの輸入品なのだ。
これは松茸が、樹齢約15年以上のアカマツの根元にしか生えず、また、ほかのきのこ類などが増え過ぎると育たなくなるというデリケートな性質によるもの。このため、食卓にのぼるきのこのほとんどが人工栽培されているにもかかわらず、松茸だけは人工栽培に今もって成功していないのだ。

きのこ狩りでは、松茸だけをめざすのではなく、ほかのさまざまなきのこに注目するのが賢明といえそう。ただ、ほかのきのこであれば、一般に6~10月が最盛期とはいうものの、きのこはほぼ1年を通して自生する。探し甲斐は、年中無休なのだ。

毒きのこの簡単な見分け方はない!?きのこ中毒にご用心

きのこ?毒きのこ?

「柄が縦に裂けないきのこは毒がある」「虫が食べたきのこは毒がない」「派手な色のきのこは毒きのこ」…。きのこの見分け方には、さまざまな俗説があるが、残念ながらいずれもまったくの嘘。毒きのこを簡単に見分ける方法は今のところないのだ。
こうした俗説を信じてか、見間違えてか、昭和46年から平成2年までの20年間に全国で1,011件、約5,000人が毒きのこによって中毒を引き起こし、30人の死者が出ているのは痛ましい限り。

見つけたきのこは、きのこ図鑑などで徹底チェックしよう。現在、日本でわかっているきのこのうち、毒性があるのは約50種。これだけでもしっかり覚えてから、きのこ狩りに出かけるのが第一だ。

また、判断に迷ったら、決して食べてはいけない!!必ず専門家に見てもらおう。最近では、きのこ狩りに専門家が同行してくれるサービスもあるとか。きのこ狩りビギナーなら、こうしたサービスを利用するのがもっとも安心でオススメだ。

さらに、もし毒きのこを食べてしまったら…。ほとんどの毒きのこは、早くて食べて10分くらいから嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れはじめる。こうした症状が出たらすぐに病院へ行き、「毒きのこを食べたようだ」と告げよう。まだ残っていたら、食べたきのこも持参する。そうすれば、何のきのこによる中毒かがわかりやすく、医師も対処がスピーディにできるからだ。この点には、くれぐれも注意したい。

簡単!栽培キットも

松茸にはほとんど出会えない、毒きのこは怖いと、きのこ狩りに出かけたくなくなるような話題ばかり並べてしまったが、きのこを自力で発見したときの感動はひときわ。また、そうして見つけたきのこの味もひとしおだ。まずは、気軽な散策のつもりで出かけてみてほしい。
このほか、きのこを楽しむ方法としては、栽培キットなどもある。きのこは、木の子。通常は、おがくずなどの木片に、きのこの菌があれば育つのだ。それを応用した栽培キットで、手軽に家庭栽培することもできる。
これなども自分で育てた、できたてが食べられるのだから楽しいはず。この秋は、さまざまな方向から、きのこを手に入れてたっぷり味わってみたい。

参考文献:「すぐに役立つ食べ物安心事典」辻啓介著 法研
「薬膳食法つき食べもののメリット・デメリット事典」川嶋昭司/能宗久美子著 農山漁村文化協会

公開日:2002年9月17日