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寝る子は育つ!脳を育てる子供の眠り

夜型の子供が増えているといわれています。ですが、子供にとっての睡眠は、体だけでなく、脳の成長にも作用するものです。子供たちが規則正しく、睡眠をとれるような日常生活を送るように心がけてあげましょう。

夜型の子供が増えている!

「眠い、横になって休みたい、目が疲れる、体がだるい…」これらは現代の子供たちがよく口にする言葉です。現代っ子は睡眠不足といわれています。
塾やゲームなどによって夜更かしをするため睡眠時間が削られ、寝不足のまま学校に行くので、授業中はぼんやりしたり、居眠りをする子供が増えているようです。そして、夜は熟睡できない、という悪循環に陥っています。
子供の睡眠障害は成長する過程で大きなダメージを与えかねません

睡眠パターンは年齢と共に変化する

生まれたばかりの乳児や幼児にはまだ大人のような「睡眠」の脳は見られません。脳が未発達なうちは、睡眠も未完成で、脳の発達とともに睡眠も発達します。
2歳以上になると、ようやく大人のようなレム睡眠・ノンレム睡眠が現れ始めます。睡眠単位ははじめは40分~60分ですが、次第に長くなり、2歳から5歳にかけて、60~80分、5歳~10歳にかけて約90分に落ちつきます。
幼児期に入ってノンレム睡眠が現れた後にレム睡眠が続く、という睡眠単位ができ上がると、レム睡眠の割合はどんどん減り、かわりにノンレム睡眠の割合が増えます。そうなると、夜は熟睡しやすくなるのです。

幼い子供を起こすのは難しく、ゆすっても起きないほどぐっすり眠っています。そのため、無理に起こすと、感覚や運動や認知などの脳の機能がばらばらになって、寝ぼけたり、「夜驚症(熟睡時に突然叫び声をあげて起きる)」や「夢中遊行症(夢遊病ともいう)」を引き起こすこともあるので注意をしましょう。


参考文献:「ぐっすり眠れる快眠学」児玉浩徳著 PHP

「寝る子は育つ」は本当だった!

深いノンレム睡眠中には、脳下垂体から成長ホルモンが大量に分泌されます。成長ホルモンは代謝を促して体の組織で傷んでいるところを治す作用がありますが、子供の場合はさらに骨を伸ばし、筋肉を増やす作用があります。
もちろん、睡眠は体だけでなく、脳にも作用するのですから、子供の睡眠を犠牲にすることは、子供の体や脳の発達を犠牲にすることになるのです。睡眠中に成長ホルモンの分泌が起こる、という現象は3ヵ月齢のころにすでにみとめられます。

小学生から中学生にかけて、夜の睡眠量が減るだけでなく、昼寝もできなくなるので、睡眠の量はかなり減少しますが、まだまだ脳は成熟しつつあるので、体の成長が著しいこの時期は、睡眠がとっても大切なのです。
夜型になりつつある子供たちを規則正しく、睡眠をとれるような日常生活を送るように、大人が心がけてあげることが大切です。

参考文献:「子どもの早寝早起きホントに必要?」井上昌次郎著 草土文化