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森林浴が体にいいのはなぜ?森林浴でリフレッシュ

森林浴をすると気持ちがリフレッシュします。これは、樹木が発散する揮発性化学物質のフィトンチッドによるものです。フィトンチッドは有害な微生物を殺すはたらきがあるため、森林の空気は常に新鮮に保たれています。森林浴をするなら、山へ出かけましょう!

森林浴とは?

山へ行って大きく深呼吸をすると、気持ちよくなる経験をした人は多いことでしょう。実は、これには理由があります。
森林の木や葉からは、「フィトンチッド」と呼ばれる揮発性の化学物質が放出されています。森林の中で息を吸うと、かすかににおうあの香りがそうです。
このフィトンチッドをいっぱい浴びることを「森林浴」といいます。

森林浴が体にいいのはなぜ?

「フィトンチッド」の「フィトン」とは植物のことで、「チッド」には殺す、という意味があります。その名の通り樹木が自らを守るために葉や幹からこの粒子を発生させ、有害な微生物を殺したり、空気を浄化する役割があります。そのため、森林はいつも新鮮な空気で満たされています。

また、人がこの新鮮な空気をたくさん呼吸すると、血液が浄化され、新陳代謝が活発になるため、体の中の老廃物が排出されます。すると、抵抗力も強くなり、自然治癒力が高まるというわけです。

森林浴にはさまざまな効果があります。

リフレッシュ効果

感情のホルモンを抑制安定させたり、自律神経を安定させるのに効果的と言われています。また、血圧を安定させたり、心拍数を落ちつかせ、 ストレスを緩和させます。そのほか、快適な睡眠をもたらします。

防虫効果

人体に悪影響を及ぼすと言われているダニ。とくに、子供のアトピーや気管支ぜんそく、またアレルギー性疾患の原因とも言われていますが、最近の研究で、ダニは木の香りを嫌い、とくにヒノキの成分はダニの繁殖をおさえるはたらきがあると報告されています。

殺菌・消臭効果

冷蔵庫もなかった時代に、笹の葉のお寿司やヒバ、スギの葉を使った料理があったように、これらの樹木や葉には殺菌作用があります。
また、消臭剤にも木の香りがよく使われていますし、ヒノキでできた家は爽やかな香りがするなど、生活のにおいを消すのに効果的です。

山へ出かけよう

森林浴を楽しむには、なんといっても山へ行かなければなりません。そう聞くと、山の奥深くへ行かなければならないかと思いがちですが、なにもそんな必要はありません。
木々の多い近くの公園や、近くの山でも問題ありません。ただ、ちょっと時間のある時や週末などには、できれば足を伸ばして本格的な森林浴を楽しんでみてはどうでしょうか。

体にいい影響を与えると言われているマイナスイオンは森林にも存在しますが、とくに滝などの近くで多く発生します。滝があるところにはたいてい森林が存在します。同じ森林浴をするなら、滝のあるところを探してみるのもいいでしょう。
また、滝はほかにも人にいい影響を与えます。夏に訪れれば、滝の水しぶきがひんやりとして気持ちがいいだけでなく、滝の落下で生じる衝撃波が人にとって気持ちがいい「1/f」という周波数のため、気持ちよさを感じさせてくれます。この自然の1/f(ゆらぎ)は精神安定をもたらし、安らぎを与えてくれます

深呼吸しよう

できるだけ新鮮な空気をたくさん吸いましょう。たくさん体内に取り入れることで、血液が浄化され、新陳代謝がよくなります。
深呼吸はゆっくりと大きく吸うようにしましょう。

山歩きを楽しもう

森林浴の楽しみは、新鮮な空気を吸うことだけではなく、目で木々を見たり、森林に生息する鳥やちいさな生き物を見ることにもあります。
できれば、ウォーキングをしながら、散策してみましょう。このとき、息が切れるほどの速さで歩く必要はなく、人と話をしながら歩いても息が切れない程度の速さで歩きます。

疲れたら休憩をして、バードウォッチングなどを楽しみましょう。遠くの木々を見れば、目の疲れも取れ視力回復にもなります。

参考文献:「森林の不思議」谷田貝光克著