双極性障害は治療が難しく、長引きやすい病気と言われています。治療は家族の協力の下、正しい治療を継続することが大切です。
双極性障害は治療が難しく、長引きやすい病気だと言われています。うつ病などの別の病気と診断されて、適切な治療の開始が遅れることが、その理由の一つとして挙げられます(文献1)(文献2)(文献3)。また、もう治ったと思って自己判断で服薬を中断してしまうことも影響していると考えられます(文献2)。双極性障害の治療では、家族など周囲の人の協力の下、医師の指示どおりに薬物療法や精神療法を続けることが大切です。
双極性障害の治療の中心となるのは、薬物療法です。まず気分安定薬を用いるのが、標準的な治療法となっています(文献1)。
出典:『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』(主婦の友社)
『日本うつ病学会治療ガイドライン I.双極性障害2012』(日本うつ病学会ホームページ)
このほかに、抗うつ薬や睡眠薬などが処方されることもあります。
病気を理解したり、周囲の人とコミュニケーションをとりやすくしたりする精神療法(心理療法)は、双極性障害の再発予防に有効だと考えられています(文献1)(文献2)(文献3)。主に次のようなことが、薬物療法とともに行われます。
病気についての知識とともに、服薬の大切さやストレスへの対処法などを、医師等との対話を通して身に付けます。また、再発の予兆をあらかじめ把握しておき、それに気付くことの重要性についても学びます。
現在の人間関係の洗い出しや、周囲の人との会話の練習とともに、就寝時間をはじめとした生活リズムを改善して、再発を防ぎます。
患者さんの家族が心理教育を受けることもあります(文献2)。家族は、特に躁状態の患者さんの言動や問題行動によって疲れたり、傷ついたりすることがあり、そんなときの対応方法などを学べます。困ったことがあれば、医師に相談しましょう。
参考資料:
文献1:『双極性障害(躁うつ病)のことがよくわかる本』(講談社)
文献2:『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』(主婦の友社)
文献3:『双極性障害(躁うつ病)とつきあうためにVer.6』(日本うつ病学会)
文献4:『日本うつ病学会治療ガイドライン I.双極性障害2012』(日本うつ病学会ホームページ)
監修医:
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 総長 樋口 輝彦 先生
九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野 教授 神庭 重信 先生