疾患・特集

ドクターインタビュー(2)~あなたがもしCKDになったら…

日本腎臓学会理事長 槇野先生に、CKDの基礎知識やその対策についてのお話をお伺いしました。

あなたがもしCKDになったら…

―― どのような人が CKD になりやすいのでしょうか?

糖尿病や高血圧といった生活習慣病を抱える人がなりやすいといえます。これらがある人は、ぜひ定期検査を受けてほしいですね。そのほか、脂質異常症や、肥満、喫煙習慣もCKD発症を高める原因になるといわれています。そうした生活習慣がなくても、腎臓の機能は30歳をピークに加齢とともに低下していくので、高齢者はCKDの可能性が高くなります。また、家族にCKD患者がいる人、他の病気で消炎鎮痛薬を常用している人、感染症、尿路結石、膠原病といった病気がある人は、なりやすい要素を持っているといえます。

これらの人は、だいたい半年に1度のペースで尿検査と血液検査を受け、CKDになっていないかどうかを調べることが大切です。CKDの初期は自覚症状に乏しいため、定期的な検査が重要になります。

―― 自覚症状がない、というのが怖いのですが、早期発見のためにどんな検査をするのですか?

慢性腎臓病は、腎臓の機能がかなり低下するまで、ほとんど自覚症状が現れないというやっかいな特徴があります。そのため、むくみなどの自覚症状が現れたときには、透析を避けられない状態にまで腎臓の機能が悪化しているケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためには、定期的に検査を受け、早期発見に努めることが重要です。
定期検査では、「尿検査」で尿中のタンパク量、血尿の有無、「血液検査」で血清クレアチニン値を調べ、腎臓の機能をチェックしましょう。タンパク質は腎臓が健康に機能していれば尿中に排泄されませんので、尿タンパク量は腎臓の働きが低下をみる指標として重要です。また、クレアチニンの値からは腎臓がどのくらいきちんと働いているかを示す糸球体ろ過量(GFR)の予測推定値(eGFR)が分かります。

CKDのなかで最も多いのが、糖尿病性腎症という糖尿病から起こるものです。糖尿病の人は、微量アルブミン尿も合わせて、定期検査で調べることをお勧めします。微量アルブミン尿は、タンパク尿やeGFRの低下よりも早く検査結果に異常が現れるので、CKD発見の手立てとして非常に役に立ちます。また、尿の色味などに異常がないか、朝起きて一番の尿の状態をセルフチェックするのもいいでしょう。最近は、市販の尿検査用の試験紙で尿中のタンパクの有無も確認できます。
尿の色が茶色くなったり、赤みがかっている、30秒以上たっても尿の泡立ちが消えないなどの異常があったら、受診してください。

―― もし、CKDと診断されたら…

まずは、かかりつけ医の先生に相談して治療を行いましょう。慢性腎臓病の具体的な治療方法は、生活習慣の改善、食事療法、薬物投与です。病気の進行の度合いによって、専門医による治療が必要になることも出てきます。