人は誰でも加齢に伴い、体のさまざまな機能が低下していく。もちろんそれは呼吸機能も同じだ。COPD患者の場合、その症状は治療によって進行がゆるやかになるものの、根本的な治療法がない現状では、加齢に伴う機能低下による重症化を避けることができない。そのため今以上に悪化させないことが治療の第一歩であり、まず取り組まなくてはならないのが「禁煙」だ。
そのほか薬物療法で症状を抑えたり、リハビリテーションや栄養管理、運動を行うことで、QOLを保ちながら生活を送ることができる。COPD患者のなかには「今さら禁煙しても治るわけじゃないのだから意味がない」という人もいるが、さまざまなアプローチによって症状の進行をゆるやかにすることが可能なのだ。
薬物療法は、「症状をやわらげる、悪化を予防する、QOLを改善する」などを目的に行う。薬物療法の柱となるのは、空気の通り道である気道の内腔を広げる「気管支拡張薬」だが、そのほかステロイドや喀痰調整薬など、患者の重症度や生活パターンによって選択される。
薬剤の種類 | 剤型 | 特徴 |
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抗コリン薬 | 吸入 | 気管支拡張効果がもっとも高い。副作用が少ないのが特徴だが、緑内障の患者には禁忌。24時間効果が続くものと、運動・入浴時など短時間だけ効果が続く2つのタイプがある。 |
β2刺激薬 | 吸入/経口/貼付/注射 | 抗コリン薬より効果発現までの時間が速い。さまざまな剤型があるため、患者の生活パターンに合わせて選択できる。 |
メチルキサンチン | 経口/注射 | 気管支拡張効果に加え、抗炎症効果もある。 |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版を参考に作成
COPDでは、急に呼吸不全の状態になる「急性増悪」が起こると、命に危険がおよぶことがある。
急性増悪のきっかけの約3分の2は、インフルエンザや風邪といった呼吸器感染症だ。そのため、インフルエンザの予防接種や、日ごろの手洗い、うがいといった感染予防を欠かさず行おう。
また、ひとたび呼吸不全に陥ると全身の臓器に影響が現れるので、合併症への配慮も忘れずに。
など