COPDは、一度発症すると完全に治すことができないため、予防が最も大切になる。
まずは、COPDの原因となる有害物質にさらされないようにしよう。とくに喫煙している人は、禁煙することが重要。なぜなら、たばこの煙はCOPDの最大の原因であり、禁煙によって肺の機能低下を遅らせることができるからだ(グラフ参照)。
続いて大切なのが、早期発見。
COPDは、咳・痰・息切れなどの症状が続いていても、「風邪や加齢のせいだ」などと思い込んで受診をせず、見逃されやすい病気なのだ。
COPDでは、問診や視診、聴診、触診、打診といった診察のほか、胸部レントゲン撮影や血液検査などを行う。また、よく行われているのが、スパイロメトリーという肺のはたらきを調べる検査だ。
呼吸機能検査機器であるスパイロメーターにつながったマウスピースを口にくわえる。指示に従って最大限に息を吸ったあと、力いっぱい速く吐き出す。(5分~10分の簡単な検査)
気管支拡張薬*の投与後に行ったスパイロメトリーの「1秒率」が70%未満であれば、気管支の内腔が狭くなり呼吸が障害される閉塞性換気障害があると判定され、COPDを診断する目安のひとつとなる。
*気管拡張薬:空気の通り道となる気管支の内腔を広げる薬
また、「1秒量」を同姓・同年代の健康な人と比較して算出した「%1秒量(% FEV1)」では、COPDの病期を知ることもできる。
病期 | 気流閉塞の程度 | 検査値 |
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Ⅰ期 | 軽度 | FEV1/ FVC<70% %FEV1≧80% |
Ⅱ期 | 中等度 | FEV1/ FVC<70% 50%≦%FEV1<80% |
Ⅲ期 | 高度 | FEV1/FVC<70% 30%≦%FEV1<50% |
Ⅳ期 | 極めて高度 | FEV1/ FVC<70% FEV1<30% あるいは、FEV1<50%で慢性呼吸不全を合併している |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版を参考に作成