疾患・特集

その原因は妊娠・出産後からはじまっている!?

トイレの悩みのキーワード「骨盤底筋」とは?

過活動膀胱の症状は40代以上の人に多いといわれているが、そのきっかけは妊娠・出産であることが多い。というのは、過活動膀胱の原因のひとつに、出産による骨盤底筋のゆるみがあるからだ。

骨盤底筋群

そもそも骨盤底筋とは、骨盤の底にある前方の恥骨と後方の尾骨との間にある、ハンモック状の筋肉で、骨盤内の臓器、膀胱、膣、子宮、直腸などを下から支えている。

実はこの骨盤底筋は、その昔人類の祖先が二足歩行をはじめるまで、尻尾を振るために使われていた筋肉だといわれている。二足歩行になり、骨盤底にさまざまな臓器の重みがかかりはじめたことで、それを支える役割をするようになったという。

出産回数2回以上でリスクが高まる

体の前方の骨と後方の骨にハンモック状にまたがる骨盤底筋は、骨盤内臓器を支えるだけでなく、尿道や膣、肛門を締める重要な役割も果たしている。妊娠中は、膣や肛門が大きくなった子宮を支えている。また出産時に産道となる膣は、強い力がかかることもあり、骨盤底筋は大きなダメージを受ける。 多くの女性が、出産後に一時的な尿もれを経験するのは、このダメージが原因だ。
しかし、出産後の尿もれは、年齢的にも回復しやすく、日常生活のなかで自然とおさまるケースが多い。

ただし、出産回数が2回以上になると、将来的に腹圧性尿失禁を引き起こす確率が高くなるといわれている。骨盤底筋へのダメージが出産によって度重なることで、よりゆるみやすくなり、戻りにくくもなってしまう。さらに加齢とともに、筋肉が弱くなることでよりゆるみやすくなり、過活動膀胱のなかで最もQOLを低下させる尿もれ、尿失禁の原因になる。

体を締めつける洋服が過活動膀胱の原因に!?

骨盤底筋体操

若い女性が好んで着ているきつめの洋服や腰痛緩和のためのコルセットも、実は骨盤底筋にダメージを与える原因となっているという。とくに出産直後の骨盤底筋がゆるんだ状態のときに、おなかを締めつけてしまうと、骨盤底筋が元に戻りにくくなってしまう。また、出産時に増え過ぎてしまった体重が、なかなかもとに戻らないという人も、出産前からかかっている骨盤底筋への負担がそのまま続いてしまうため、ゆるみの原因となる。出産後は育児に追われて自然と体重が減るという人もいるが、将来の過活動膀胱予防のためにも、体重コントロールは重要なのだ。

そのほかにも持病として喘息や慢性のせきがある人、便秘がちで、トイレで力むことが多いという人も、自分では気づかないうちに骨盤底筋に負担がかかっているので、注意が必要だ。まずは出産後、骨盤底筋体操を日常生活のなかに取り入れて、早いうちに、骨盤底筋を鍛えることが大切。

■関連記事