花粉症のなかでも、鼻に関する症状はほぼすべての患者にみられ、目に関する症状も約90%の人に出ているそうです。今回は、とくに目に関する花粉症ケアについて、日本コンタクトレンズ学会常任理事・梶田眼科院長の梶田雅義先生にお話をうかがいました。
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花粉によるアレルギー症状は、「立て続けにおこるくしゃみ」、「サラサラの鼻水」、「ガンコな鼻づまり」、「しつこい目のかゆみ」の4つに代表されます。そもそもアレルギー性鼻炎の一種と位置づけられ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった、鼻に関する症状はほぼすべての患者にみられますが、さらに、目がかゆい、ごろごろする、痛みがある、目がかすむ、涙が止まらない、まぶしい、まぶたが腫れる、目やにが出る、などの目に関する症状も約90%の人に出ているそうです。
目の表面は角膜と結膜という粘膜に覆われているが、粘膜は文字どおり粘りけのある組織で、花粉などが一度付着するとなかなかはがれません。そのためアレルギー体質の人ではすぐ下を通っている血管を弛緩させて充血を起こしたり、結膜の表面にある神経を刺激してかゆみを引き起こしたり、体自身も涙をあふれさせて花粉を押し流そうとするなど、アレルギー特有の症状が起きやすくなります。
今回は、特に目に関する花粉シーズンのケアについて、日本コンタクトレンズ学会常任理事・梶田眼科院長の梶田雅義先生にお話をうかがいました。
A. ここ10年くらいの間で増えてきました。目の症状だけをうったえる患者さんもいます。
スギ花粉によるアレルギーの患者さんは、年々増えている印象です。患者さんの年齢層は、10代後半から50代くらいあたりでしょうか。子どもさんも多いですね。男女比はほぼ同じくらいで、最近では目の症状だけをうったえる患者さんもいます。
A. 目の症状だけなら、抗アレルギーの点眼薬で十分。早めに使い始めると、予防にもなります。
鼻の症状もある場合は飲み薬も併用しますが、目の症状だけなら、目薬で十分です。抗アレルギーの点眼薬を本格飛散の2週間前に使い始めれば、炎症予防になります。
じっさいに花粉が飛び始めてひどい症状が出た場合は、ステロイドの点眼薬を加えてかゆみを抑え、症状が治まってからふたたび抗アレルギー薬のみに戻すこともあります。
ところで対処療法で使われることの多い抗ヒスタミン薬ですが、飲み薬だけでなく、目薬を点眼した場合でも、眠くなることがあります。車の運転をする人などは要注意。医師に相談し、別の薬を使うようにしましょう。
A. サングラスや帽子で花粉を避けるほか、冷やした目薬を使う、防腐剤の入っていない人工涙液で花粉を洗い流す、などの方法があります。
症状をおこさないためには、花粉に触れないことが大切です。サングラスや帽子を利用する、部屋に入る前に衣服についた花粉を払い落とすなどのセルフケアは、徹底しましょう。
また、防腐剤の入っていない人工涙液を使って、目に入った花粉をこまめに洗い流すのもいいでしょう。目薬も冷やしたものを使うと、かゆみを感じにくくなるといわれています。最近では、目薬を冷たいまま持ち歩くためのケースも出ているみたいですよ。
A. コンタクトについた花粉は、非常に落としにくいので、この時期だけでも1日使い捨てタイプをためしてみては?
レンズに着いた花粉もアレルギーの原因のひとつ。いつもレンズを清潔にしていることが、アレルギー対策の基本です。しかし、一度ソフトコンタクトレンズに花粉が付着すると、洗浄液で洗ってもほとんどとれません。むしろ、こすり洗いによってレンズにすり込んでしまう状態です。こうした場合、1日使い捨てのタイプであれば毎日清潔に使うことができ、花粉と瞳との接触機会も減らせると考えられます。
また、1日使い捨てタイプでない、ケアが必要なコンタクトレンズを使う場合には、外したレンズをまず振り洗いして花粉を落とし、そのあとにこすり洗いで皮脂やたんぱく質などそのほかの汚れを落とす方法がいいでしょう。
A. やはり1月下旬から予防を始めることと、セルフケアを怠らないことですね。
最近の患者さんの傾向として、予防のために1月下旬から来院する方が増えているんですよ。これは、とてもいいことだと思います。また、くり返しになりますが、「花粉に触れない・持ち込まない」というセルフケアを実行することも大切です。
コンタクトレンズを使っている人の場合は、使い捨てコンタクトを試してみるとか、人工涙液で花粉をレンズから洗い流すなどを実行してみては?それでも目の症状が気になるときは、必ず専門医を訪れ、症状に応じた適切な処置をとることが肝心です。
高脂肪・高たんぱくに偏った食生活は、スギ花粉などによるアレルギー症状を重くするともいわれていますが、逆に、おすすめの栄養素や成分には、どんなものがあるのでしょうか。
このほか、免疫調整機能にはたらきかけるといわれるビタミンB6、Cなども不足しないようにしましょう。