「ニコチンは体に悪い」とはよく聞くが、それは本当だろうか。
たばこの煙には、約4,000種類もの化学物質が含まれており、そのうち現在確認されている有害物質は約200種類。ニコチン・タール・一酸化炭素の三大有害物質をはじめとし、ダイオキシン、シアン化合物、窒素化合物、ヒ素、アセトアルデヒドなど、まさに「毒煙」なのだ。
ニコチンの毒性は非常に強く、その作用は素早いもの。喫煙を常習化してしまう元凶だ。中枢神経や末梢神経を興奮あるいはまひさせてしまう作用があるため、末梢神経が収縮して血流が少なくなる。その結果、血圧が上昇したり、脈拍が速くなって心臓に負担をかけ、血管の老化を促進するのだ。
また、たばこの影響は喫煙者だけではなく、非喫煙者にまで及ぶ。それが「副流煙」だ。副流煙とは、たばこの先から立ち上る煙のこと。喫煙者が吸う主流煙がpH5前後の酸性であるのに対し、副流煙はpH9前後のアルカリ性で刺激の強い煙。喫煙者の近くにいると、目がチカチカしたり鼻が痛くなるのはそのせいだ。
1日に50本以上たばこを吸う夫を持った非喫煙者の妻は、たばこを吸わない夫を持った妻より2倍以上肺がんの死亡率が高いという結果もあるほど。喫煙の害は、喫煙者だけではないのだ!
すべてのがんと関わりあいがあるとも言われている喫煙。なかでも喉頭がんと肺がんは密接な関係を持っており、喫煙者の約7割以上がかかってしまうとも言われている。
がん研究会付属病院の医師の発表によると、男性に比べて女性は、喫煙指数(1日のたばこの本数×喫煙年数で算出される数字。ちなみに、400以上になると肺がんのリスクが高くなるという)が少なくても肺がんにかかりやすいとか。
これは、肺がん手術を受けた1,677人のうち、とくに喫煙と関連が強いがん(扁平上皮がん、小細胞がん、低分化腺がん)の患者(女性71人、男性603人)を対象に調査されたもの。その結果、男性の患者は9割以上が喫煙者であったのに対し、女性はそれ以下だったのだ。間接喫煙による影響が示唆されたとも言われているが、考えられるのは「女性のほうが男性より低い喫煙指数でも肺がんになりやすい」ということ。
もちろん、現在のところは肺がん患者は男性より女性のほうが圧倒的に少ないものの、今後女性の喫煙者が増えるとますます肺がん患者が増える危険性あり!?
また、喫煙は肌の衰えにも影響がある。ニコチンは、血管細胞を収縮させるため血のめぐりが悪くなり、肌が衰える。その結果、皮膚の栄養が悪くなって色艶がなくなり、いつもくすんだような肌になってしまう。もちろん、シミ・シワの原因でもあり、そうなればいくら化粧でごまかしても、老け顔になってしまう可能性大。
いつまでも若々しい肌を保つためには、たばこを吸わないことは必須なのだ。
「いつかは禁煙しよう!」と思っているなら、その「いつか」を「今日から」にしてみよう。「長年吸っていたから、いまさらやめても仕方がない」なんてことは決してない。もちろん、今までに何度も禁煙にチャレンジしたものの、いつも挫折してしまっているという人でも、あきらめず禁煙にトライしよう。