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睡眠時無呼吸症候群(SAS)をコントロールし、快適な生活を!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)をコントロールするまでの道のり

日中激しい眠気に襲われる「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」は、仕事での重大なミスや、高血圧・脳卒中などの合併症を併発しやすい病気です。しかし、適切な治療で無呼吸や眠気、さらには合併症もコントロールすることができます。検査から治療、コントロールするまでの道のりを簡単に見てみましょう!

STEP1)検査

検査

SASの原因や重症度を調べ、適切な治療方法を決定するためにはまずは十分な検査が必要です。「大きな病院ならSASの検査ができる」というわけでありません。検査設備の整った、専門の医療機関を受診するようにしましょう。一般的には一晩入院して、睡眠状態を調べる「ポリソムノグラフィー(PSG)」という検査をします。これは、電極やセンサーなどの検査端子を体につけて眠る検査です。

  • ?「会社を休めないよ」
    夜間入院して、検査。翌朝退院できるため会社を休まなくても大丈夫!
  • ?「電極をつける!?痛くないの?」
    多少うっとうしいとか、動きづらいということはあるが、痛みはナシ。
  • ?「いびきで周りの入院患者に迷惑をかけるのが心配」
    個室で検査を受けられることが多いので、余計なストレスもなく安心。

STEP2)治療開始

治療開始

検査結果の分析を経て、治療方針が決まります。現在、治療効果が確立しているのは「CPAP/シーパップ」という機器を使う方法です。現在のところ治療の中心であり、症状が劇的に改善します。 CPAPは、気道閉塞の程度に応じた空気圧を、送風ファンによって鼻マスクを通して鼻から気道へ送り込む方法です。機械を病院から借りて、自宅で使います。空気圧は、SAS患者の病状に応じて決められます。中等以上と診断された場合には、保険も適用することができます。

  • ?「音はうるさくないの?」
    ほとんど気にならない程度の音。
  • ?「鼻マスクは痛くないの?」
    鼻にあたる部分はシリコンなどの合成樹脂で作られ、柔らかい。鼻の形や大きさに合わせて数種類あるので、医師が患者に一番フィットしたものを選んでくれる。
  • ?「CPAP装着中に不快に感じることがあるときは?」
    早めに医師に相談を。

そのほか、SASの治療法には「マウスピース療法」や、「手術療法」などがあります。
マウスピースは、医師が検査によりSASと診断した後、専門の歯科医師にSAS用のマウスピースを作ってもらい、睡眠時に装着する方法になります。下あごを前に出すことで、気道の閉塞を防ぐしくみです。軽症の場合に効くことがあります(保険適用あり)。
手術療法は、咽頭周辺部位などを切除する方法です。無呼吸の原因が、咽頭周辺部位と特定できる場合に有効なケースもあります。ただしこの手術も、どこの医療機関でもできるわけではありません。必ずSASの手術に慣れた耳鼻咽喉科医などを受診し、手術のリスクなどをよく相談してから行うようにしましょう。

STEP3)目覚めがスッキリ。日中も快適!

目覚めがスッキリ。日中も快適!

CPAPの使用により、SASの症状が改善、いままでにないスッキリした目覚めが経験でき、日中の眠気もなくなり快適に過ごせるようになります。しかし「これで治った!」と喜ぶのは早合点。CPAP療法を止めてしまうと元の状態に戻ってしまうので、治療を継続する必要があります。月に一度は病状観察などのために、必ず外来受診をしなければいけません。
また、肥満である場合は、CPAP治療を継続して良好な睡眠を確保したうえで、日中には食事や運動療法に取り組み、適正な体重に近づけることも重要な課題となります。CPAP任せにせず、少しでも症状改善に努めましょう。

これ以上、"気になるいびき"を放っておかないで!

CPAPの装着は、慣れないうちは面倒に思うこともあるでしょう。ある専門医によれば、「眼鏡は起きている間、ずっとかけていなければいけないけれど、CPAPを付けるのは寝ている間だけですよ」とのこと。こう考えれば、気が楽になるのではないでしょうか?

SASは、残念ながら完治する可能性が低い病気です。しかし、CPAP治療を続けることで、眠気などの自覚症状をコントロールすることができ、朝の爽快な目覚めや快適な日常生活を取り戻すことができます。また、SASをコントロールすることで、生活習慣病の改善、予防にもつながります。
「もしかしたら…」と思い当たることがあるなら、まずはSAS専門医療機関で検査を受けてみましょう。これ以上、気になるいびきや無呼吸を放置しておいて、いいことはひとつもないのですから。

公開日:2014年11月10日