風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものです。市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問を専門医の先生にうかがいました。
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薬は、「病原体に対するもの」と、「病原体にかかった体に対するもの」のふたつに大別できますが、風邪薬は後者の方にあたります。風邪のウイルスはあまりに数が多く、ひとつひとつに対しての薬を作るわけにはいきません*。つまり風邪薬とは、風邪そのものを治すものではなく、風邪の諸症状を緩和するためのものになります。市販の風邪薬を買うなら、自分のいちばん強い症状に合わせて選ぶといいでしょう。
ただ、風邪をひくたびにいろいろな症状が出ることもあります。そういうときのために、家庭にひとつあると便利なのが総合感冒薬です。「寒気がする」「喉の調子がヘン」など風邪の初期症状なら、総合感冒薬で十分です。ただし、用法・用量は必ず守ること。早く治したいからといって用量以上に服用すると、思わぬ副作用を招くこともあります。
*インフルエンザのウイルスに対する処方薬はある。
症状 | 分類 | 薬 |
---|---|---|
熱が下がらない 体が痛い | 解熱薬、鎮痛薬 | アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
鼻がつまる | 血管収縮薬 (スプレータイプ) | オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、フェニレフリン |
鼻水がよく出る | 血管収縮薬 (飲み薬) | プソイドエフェドリン |
鼻がつまる くしゃみがよく出る | 抗ヒスタミン薬 | クレマスチン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン |
たんがよく出る | 去たん薬 | グアイフェネシン |
せきが止まらない | せき止め薬 | コデイン、デキストロメトルファン、ベンゾナテート |
参考資料:「メルクマニュアル医学百科最新家庭版」日経BP社
「薬を飲んでも治らない!」「こんな服用の仕方は大丈夫?」など、市販薬を使うとき、なんとなく感じる素朴な疑問。専門医の先生にじっくりうかがいました。
A. 風邪の混合感染(二次感染)の可能性があります。
混合感染(二次感染)とは、風邪をひいて喉や気管支の粘膜の免疫力が落ちたとき、細菌が侵入して、肺炎などの別の病気を発症してしまうこと。風邪薬が効かないほどこじれた場合は、混合感染の可能性がありますから、医師による診断を受けてください。
A. 1回の風邪で5日くらい風邪薬を飲んでも治らないときには、病院に行くこと。
いろいろな種類の風邪薬を試すよりも、病院へ。市販薬を飲んでいた後に、病院でもらう処方薬を服用しても問題はありません。
A. 治りません。
よく間違えている人がいますが、風邪とインフルエンザとは別物。急に40度前後の熱が出て全身関節痛や全身倦怠感が強く、起きているのもつらいといった症状がみられる場合には、インフルエンザにかかっている可能性があります。こうなると市販薬で治すのはムリなので、病院へ行くこと。
A. 風邪のウイルスに対応するわけではありませんが、混合感染を防ぐために処方されることも。
抗生物質は細菌の増殖を抑える薬で、風邪の原因であるウイルスに直接関与するわけではありませんが、風邪が長引いたり、喉に膿が出ていたりするなど、細菌の二次感染が疑われる場合には処方されることがあります。
A. 栄養ドリンク剤の成分にもよりますが、交感神経興奮剤との飲み合わせはNG。
風邪をひいた時は栄養補給が大切。栄養ドリンク剤も上手に活用したいものです。ただし、薬に交感神経興奮剤が含まれている場合は、薬の効果が過剰になる恐れもあるため、避けましょう。ちなみに、栄養ドリンク剤を飲むとシャキッと元気になったような気がしますが、これはカフェインやアルコールなどが含まれているため。風邪が治ったわけではないので、あまり頼り過ぎるのは考えものです。
A. 薬の成分によっては、気をつけたほうがいい場合もあります。
下記のような場合、薬の成分によっては気をつけたほうがいいケースもあります。またどんな薬であれ、アルコールと一緒に服用するのは絶対にやめてください。
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