疾患・特集

体に大切な栄養素、脂肪酸の正体を探る

無意識のうちに太っちゃう!?

体脂肪とは、「体につく脂肪」のこと。見た目を気にして、この体脂肪の値に一喜一憂する人も多いだろう。しかし問題なのは、見た目ではなく「健康」。よほどの肥満でない限り、体は痛くも苦しくもないが、確実に動脈硬化などの生活習慣病につながっていくのだ。

では、どうやって肥満を防いだらよいだろう?ここで、気を付けたいのが食生活。現代人は食生活が大きく変化してきており、その影響のひとつに「脂質の摂り過ぎ」がある。「脂質の摂取状況」によると、植物油やバター、マヨネーズなどのように「見える油」より、肉類やお菓子のように「見えない油」の方が、圧倒的に摂取量が多い。
脂質は摂り方しだいで良くも悪くもはたらくもの。健康のためにも、脂質の量はもちろん、種類や質にも気を配るようにしたい。

脂質の摂取状況

「脂肪酸」は体に不可欠な栄養素

一般的な食用油の構造

食用油のラベルやCMで、よく目や耳にする、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸…。実は、これらはみんな「脂肪酸」の仲間である。普段、私たちが毎日食べている大豆やなたねなどからつくられた一般的な食用油は、脂肪酸が3つ結合した形をしておりこれがトリアシルグリセロールと呼ばれる油本来の形。そして結合した脂肪酸の種類によって油の質が決まるのだ。

名前に「脂肪」とつくと悪者のイメージだけど、脂肪酸だって大切な栄養素。生きていくために必要なエネルギー源としてだけではなく、細胞膜やホルモン、血液などの構成成分としても不可欠である。
さらに、不足しがちなカロチンやビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンの吸収を助けるというはたらきも見逃せない。ホウレンソウやニンジンなどの緑黄色野菜は特に、生や茹でるより油で炒めた方が栄養の吸収がよいのだ。

種類いろいろ「脂肪酸」

しかし、ひとくちに脂肪酸といっても、種類によって特徴もさまざまである。ここでちょっと、私たちの身の回りにある代表的な脂肪酸の種類と特徴を紹介しよう。

脂肪酸の構造

炭素数の長さによって脂肪酸を種類で分けると、一般的な油に含まれるのは長鎖脂肪酸で、炭素が18個くらいつながっている構造をしている。一方、中鎖脂肪酸は、その約半分くらいの長さ。炭素数が8~10個での短い脂肪酸だ。長鎖脂肪酸に比べて短い分、水になじみやすく、サラサラとしている。

代表的な脂肪酸と、多く含まれる食品

  飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸
長鎖 パルミチン酸(牛脂、ラード)オレイン酸(オリーブオイル)リノール酸、リノレン酸、DHA(植物油、魚油)
中鎖 カプリル酸、カプリン酸(ココナッツオイル)
短鎖 酪酸、酢酸(バター、酢)

-:天然には全く、またはほとんど存在しない