成長ホルモン欠乏症の治療法とは?成長ホルモン療法や、成長ホルモンの分泌をバランスよくする日常生活改善の秘訣を紹介。あなたの生活も見直してみよう!
成長ホルモンが欠乏しているかどうかは、尿や血液中の成長ホルモン濃度を調べることでわかる。尿検査では朝一番に排泄される尿中の成長ホルモン量を調べる。しかしこれだけでは正確な診断はできない。なぜなら、成長ホルモンの分泌量は日常生活の中でさまざまに変動するからだ。
成長ホルモンの分泌能力を正しく調べるためには、専門医で成長ホルモン分泌刺激試験と呼ばれる検査を受ける必要がある。成長ホルモンの分泌を促進する薬剤を投与し、数十分ごとに採血して血液中の成長ホルモンの濃度を測定する検査だ。また、脳下垂体に腫瘍などの異常がないかを頭部CTスキャンやMRI検査することもある。
成長ホルモン欠乏症の治療法としては、成長ホルモン療法がある。
成長ホルモンはたんぱく質でできており、成長ホルモン製剤を内服薬として投与しても胃で分解されてしまうため、注射で補う必要がある。週に数回からほぼ毎日、決められた量を太ももや腹部などに自分で注射する。
「自分で注射!?」と抵抗を感じる人も多いかもしれない。しかし、成長ホルモン製剤は低身長の治療にも使われているため、小さな子どもでも簡単に扱えるよう、専用の自動注入器も改良され、痛みも少ない。
なお、成長ホルモン療法は短期間で症状改善などの結果が出るものではないため、継続して治療を受けるようにしよう。
欧米を中心とした海外の治験(臨床試験)では、おとなの成長ホルモン分泌不全症にも成長ホルモン療法が行われ、体脂肪の減少や筋肉の増加などの効果と安全性が認められている。 ただし、次の通り、成長ホルモン療法を避けるべきケースがあるので注意しよう。
また、成長ホルモン療法は成長ホルモンの欠乏の原因を根本的に治療する方法ではない。腫瘍など分泌低下の原因がはっきりわかっている場合には、原因そのものの治療も必要だ。いずれにしても、医師の診断のもと、正しい利用を。
成長ホルモンの分泌は、日常生活を改善することでバランスがよくなることもある。あなたの生活も見直してみよう!
成長ホルモンは寝ているときに多く分泌されることがよく知られている。睡眠不足はNG。
成長ホルモンの分泌は空腹時の方がより促進されるため、寝るときに満腹状態ではダメ。寝る前の数時間は食事をなるべく控えよう。
成長ホルモンもたんぱく質でできている。そもそもたんぱく質は体の重要な構成成分。生命活動の維持にとても大切な栄養素だ。
またアミノ酸のアルギニンには、脳下垂体にはたらきかけて成長ホルモンの分泌を促すはたらきがある。アルギニンはおとなの体内で合成できるので、食事で摂取しなくてはならない必須アミノ酸には分類されていないが、アルギニンを多く含む食品を摂るなら、鶏肉、えび、大豆、ナッツ類、牛乳、ポップコーン、チョコレートなどがある。
ウォーキングなどの適度な運動は、成長ホルモンの分泌を促進する。運動により脂肪燃焼や筋力がアップされれば、成長ホルモン不足による体脂肪増加や筋力低下などの症状改善にも期待できる。さらに心疾患などの生活習慣病の予防にも効果的。
ストレスが溜まると成長ホルモンの分泌量は低下する。気分転換を心がけ、ストレスをため過ぎないようにしよう。