疾患・特集

明日葉はすごい!そのパワーを解明

年齢・性別を問わず、幅広い層の人々に健康をもたらす明日葉。悩み別に明日葉の効果を紹介。さらに、最近の研究で期待が寄せられる糖尿病や痴呆症へ効果なども紹介。

これが明日葉パワーだ!その1:糖尿病に

糖尿病は、インスリンが不足することやあるいは、インスリンが作用しにくくなることにより、細胞へのグルコースの取り込みが低下する結果、血液中の糖濃度が上昇して血管障害を始めとするさまざまな症状を引き起こす病気だ。
糖尿病が進行すると体がだるい、のどが渇く、トイレが近い、集中力が低下するなどの症状をもたらすほか、神経や網膜、腎臓など全身の器官にさまざまな合併症を引き起こす危険性がある。

では、この糖尿病にどうして明日葉の成分が注目されているのだろう?

インスリンは、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化*を促進する作用や肝・筋肉・脂肪細胞などに作用してグルコースの細胞への取り込みを促進させることが知られているホルモンだ。
*分化:細胞の形や性質が変化し、特定の機能を発揮する細胞になること。

また、脂肪細胞の分化は、インスリンが作用しやすくなるためにも必要であることが近年の研究で明らかになってきたそうだ。
すなわち、脂肪細胞の分化を誘導することでインスリンが作用しやすくなり、血糖値が低下することが期待できるのだ。
なんと、明日葉の成分に、前駆脂肪細胞に作用して脂肪細胞への分化を促進するはたらきが豊富にあることが、近年の研究により発見されたのである。

それだけではない。明日葉の黄色い汁に含まれる「カルコン」には、白内障などの糖尿病による合併症の発症を防ぐ効果が期待されているのだ。

高血糖状態が続くと、アルドース還元酵素という酵素によってさまざまな組織で血液中のグルコースが「ソルビトール」という糖アルコールに変換される。このソルビトールは糖尿病による神経障害への影響が大きく、糖尿病による合併症の予防にはこのソルビトールの生成をいかに抑えるかが重要とされている。そこで、注目されたのが「明日葉」だ。明日葉の成分カルコンには、このアルドース還元酵素のはたらきを阻害する効果があることがわかってきている。まだまだ研究途上ではあるが、今後、糖尿病による合併症の予防への活用が期待されている。

これが明日葉パワーだ!その2:アルツハイマーに

明日葉にはアルツハイマー型認知症を予防する効果があるのではないかと言われている。

アルツハイマー型認知症は、脳全体が次第に萎縮し、最終的には死に至る病気だ。初期症状では物忘れや、記銘力(直前のことを覚える能力)の低下が起こり、症状が進むと時間や場所などの記憶もなくなっていく。進行すると言葉がわからなくなったり、足の麻痺やけいれんなどが起こってくる。特に有効な治療法もいまのところ確立されていない。

神経成長因子(NGF)の生成を促す植物

では、明日葉はどうしてこのアルツハイマー型認知症の予防や治療に有効なのではないかと言われているのだろう。そのカギを握るのが、神経成長因子(NGF)<Nerve Growth Factor>である。

NGFは神経細胞の生成や維持に関わるたんぱく質で、脳神経の機能を回復したり、脳の老化を防止する作用が知られている。ところが、NGFは分子量が大きいために、血液関門を通過することができない。そこで分子量の小さい物質の利用が期待された。しかし、残念ながら、これまでに発見されたものには副作用の問題などもあり、実用化には至らなかった。

そして、最近の研究で、このNGFの生成を促す作用が、明日葉、ホップ、食用菊の花、ガジュツ(紫ウコン)などの植物にあることが発見されたのだ。とくに明日葉には、15~20倍もNGFの生成を促す作用があることが確認されている。この活性は4種類のクマリン化合物(セリ化植物に多く含まれる化合物)と1種類のクロマンにあることがわかり、今後、医食品などへの利用が期待されているのだ。

さらに明日葉パワー!こんな悩みにも

悩み

「最近、便秘がひどくてお肌も荒れ気味。しかも冷え性なんです。それから太もものセルライトも気になる…」

  • ■便秘
    明日葉にはにんじんやほうれん草の2倍の食物繊維があり、また葉緑素も多い。そのため胃腸のはたらきが活発になり、便通がよくなる。
  • ■冷え性
    カリウムが多く含まれており、利尿効果がある。この利尿効果が水分代謝を活発にし、むくみを取り除き血液の循環をよくして冷えを防ぐ。
  • ■セルライト
    明日葉の葉や茎から出る黄色い汁のフラボノイド「カルコン」には、セルライトを解消する作用がある。また、カリウムが細胞内の余分なナトリウムの排泄を促すので、利尿薬となり、水分代謝を促進する。そのため、むくみが減り、血液もサラサラにし、セルライトを解消してくれる。ただし、同時に適度な運動も必須。

悩み

「このところなんとなくだるくて…。以前から、貧血気味なのでそのせいでしょうか?」

  • ■貧血
    明日葉には貧血予防・疲労回復に役立つ、鉄分やカリウム、葉酸といった造血に作用する栄養素が豊富に含まれている。

悩み

「血圧が高めです。しかも、このところ胃腸も弱ってきているような…」

  • ■高血圧
    明日葉の成分であるカルコンには、血圧を下げる効果が認められている。
    血管の拡張や収縮を調整している、自律神経のうち、交感神経が活発にはたらきはじめると血管が収縮し血圧が上昇する。この収縮した血管を広げる効果がカルコンにあるのだ。
  • ■血液さらさら
    明日葉の黄色い汁カルコンが、トロンボキサンA2(血小板を凝集させる物質)の生成を抑えることで、血栓ができるのを防ぐ。そのため、血管の収縮が改善され、血行がよくなる。
  • ■胃腸のはたらきの減退
    葉緑素が豊富に含まれる明日葉を食べると胃のもたれやむかつきが治まるため、食べ物をしっかり消化することができる。また、食物繊維も豊富なので腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促し、消化を助けてくれる。

悩み

「以前から足腰の強い方ではありません。骨粗しょう症になるのではないかと思うと不安です」

  • ■骨粗しょう症
    女性の場合、閉経後はカルシウムの流出を抑えていた女性ホルモンが激減するため、骨粗しょう症になりやすくなる。男性の場合でも、喫煙やアルコールの摂り過ぎ、運動不足などが影響して骨粗しょう症になる。
    骨には「BMP-2」(骨形成たんぱく質)<Bone Morphogenetic Protein-2>と呼ばれる骨の形成を促すたんぱく質がある。明日葉にはBMP-2の生体内での生成を促す作用があるため骨粗しょう症予防につながる

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公開日:2003年10月6日