お医者さんから薬をもらったはいいけれど、いざ飲ませようとしたらさまざまなトラブルが!こんなときどうしたらいい?小児科のドクターに親の疑問をぶつけました。
取材協力:荒井小児科医院院長 荒井恵一先生、中井こども医院院長 中井伸一先生、川越病院副院長 神村裕子先生、樫の木薬局本店 管理薬剤師 遠藤純子先生
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小さい子の場合、無理に飲ませても吐いてしまうでしょうし、かえって薬嫌いがひどく なることも。そこでおすすめは、子供の好きな食品に混ぜて飲ませる方法。アイスクリーム がダメでもチョコレートシロップなら飲めたというお子さんもいます。いろんな食品で試してみてください。
それでもダメな場合、お子さんの病気の症状によってはあきらめてもいい薬もあります。例えば、せき止めや鼻水、下痢などを抑える薬や解熱剤などは、病気の症状を抑える薬ですから、症状が軽いようなら無理することはありません。しかし、病気の元凶である細菌などを殺したり、そのはたらきを抑える薬(抗生剤)もあります。病気を早く治すためにも、抗生剤は飲ませたほうがいいと思います。
「抗生剤がどうしても飲めない」「せきがひどいのにせき止めが飲めない」など、本当にお手上げのときは、ほかの薬に替えられないか、医師に相談しましょう。同じ効果の薬でも別の味のものもありますし、お尻から入れる座薬タイプの薬もあります。
飲み薬の場合、30分くらいでは体に吸収されないことが多いので、もう一度飲ませてもよいでしょう。しかし、気持ちが悪くて吐いてしまったのならば、また飲ませても吐く可能性があります。吐いた後、しばらく様子をみて、落ち着いてから飲ませたほうがいいと思います。「食後」という指示がある薬でも、食後30分以内でないとダメというわけではありません。次に薬を飲むときまで、数時間間隔をあければ大丈夫です。
子供用の薬は、きちんと食べた後でないと胃が荒れるような薬は少ないです。ですから、飲み物を少しだけとか、おかゆを2~3口程度で飲ませてもかまいません。
また、ミルクを飲んだ後はお腹がいっぱいで、薬を受け付けない赤ちゃんの場合は、ミルクを少し飲んだところで薬を飲ませ、またミルクを与えてもかまいません。それでも上手くいかないときは、「食前」か「食間」の薬にしてもらえないか、医師に相談してみるとよいでしょう。
また、吐き気がひどくて薬も飲めそうにないときは、無理に飲ませる必要はありません。1日3回飲む薬の場合、重要なのは薬を飲む間隔を4時間以上あけることで、朝とか昼とかではないのです。ですから、しばらく待って、様子が落ち着いたときに飲ませればいいと思います。
解熱剤を使っても高熱が続いてぐったりしているときや、40度以上の熱でまだ上がりそうな ときは、もう一度使ってみてもかまいません。
しかし、熱が高くても、「ぐったり苦しそうじゃない」「機嫌もそれほど悪くない」「食べたり飲んだりがある程度できる」ようなら、指定された間隔を守ったほうがいいでしょう。なお、熱が高くて真っ赤な顔をしているときは、薄着にし、室温も低めにしたほうが、熱が外に逃げやすく楽になります。また、わきの下などを冷やすのも熱を下げるには効果的です。
病院で処方された薬の中に「抗生剤」があるときは、その副作用で下痢が起こることがあります。ですから、処方してもらった病院に相談するのが一番です。
診療時間外に下痢になったときは、水分の補給を心がけながら様子をみてください。症状が下痢だけで、機嫌も悪くなく、眠れるようなら次の日まで待ってもかまいません。しかし、水のような便を何度もしてぐったりしている、お腹を激しく痛がる、嘔吐や高熱もあるようなら緊急事態です。夜間診療などの病院にすぐ連れていくことをおすすめします。
基本的には病院で出してくれた期間は飲ませたほうがいいと思います。鼻水やせきなど目に見える症状が軽くなっても、体の中の病原体が全部やられたとは限らないからです。薬をやめた後、また悪くなることもありますからね。風邪などの場合は、熱が下がって2日間くらい経過して初めて一安心と考えたほうがいいのです。
しかし、どうしても薬が嫌いな場合、せき止めの薬など症状を軽くするものは、子供の調子がよくなったら飲ませなくてもかまいません。