疾患・特集

がんを予防するには?

これまでの研究により、多くの場合、がんは日常の生活習慣が原因となって発生することが明らかにされています。なかでも、喫煙や肥満、飲酒などは、確実に関連していることがわかっています。がんの原因となる、周辺環境や生活習慣をまとめました。

がんの発生と生活習慣の関連をチェック!

国立がん研究センターは、WHO(世界保健機関)による食事関連要因に関する評価に、IARC(国際がん研究機構)によるたばこに関する評価の結果を加えた概要として、予防効果の確実性についてランク分けされた下記の表を公表しています。これをもとにして生活習慣を見直し、がんを予防しましょう。

リスクを下げるもの

関連の強さ 要因 関連するがんの種類
確実 身体活動結腸がん
可能性大 野菜・果物口腔がん、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん
身体活動乳がん
可能性あり / データ不十分 食物繊維、大豆、魚、N-3 系脂肪酸、カロテノイド
ビタミンB2、B6、葉酸、B12、C、D、E
カルシウム、亜鉛、セレン非栄養性植物機能成分(例:アリウム化合物、フラボノイド、イソフラボン、リグナン)

リスクを上げるもの

関連の強さ 要因 関連するがんの種類
確実 喫煙口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、尿路がん、膀胱がん、子宮頸部がん、骨髄性白血病
他人のたばこの煙肺がん
過体重と肥満食道(腺がん)、結腸がん、直腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん、腎臓がん
飲酒口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がん
アフラトキシン肝臓がん
中国式塩蔵魚鼻咽頭がん
可能性大 加工肉腸がん、直腸がん
塩蔵品および食塩胃がん
熱い飲食物口腔がん、咽頭がん、食道がん
可能性あり / データ不十分 動物性脂肪
ヘテロサイクリックアミン
多環芳香族炭化水素
ニトロソ化合物

WHO technical report series 916. Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases (2003), IARC monograph on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Volume83, Tobacco Smoke and Involuntary Smoking (2004)

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

がんを予防する食事とは?

WCRF(世界がん研究基金)とAICR(米国がん研究協会)による評価報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」では、食品や栄養素のがん発生リスクがまとめられています。このなかで、赤肉(牛、豚、羊などの肉)や加工肉(ソーセージ、サラミ、ベーコン、ハムなど)は、大腸がんの発生リスクを上げることが「確実」と判定されています。それらの摂取を控えることが、大腸がんの予防になると言えます。

食物関連要因とがんとの関連(まとめ)WCRF/AICR 2007

リスクを下げるもの

関連の強さ 食物関連要因 関連するがんの種類
確実 運動結腸がん
授乳乳がん
可能性大 肥満乳がん(閉経前)
運動乳がん(閉経後)、子宮体部がん
果物口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん
非でんぷん野菜口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん
アリウム野菜(にんにく、玉ねぎなど)胃がん
にんにく、食物繊維、牛乳、カルシウムのサプリメント大腸がん
食物に含まれる葉酸膵臓がん
食物に含まれるカロテノイド口腔・咽頭・喉頭がん、肺がん
食物に含まれるβ-カロテン、食物に含まれるビタミンC食道がん
食物に含まれるリコピン、食物に含まれるセレン、セレニウムのサプリメント前立腺がん

リスクを上げるもの

関連の強さ 食物関連要因 関連するがんの種類
確実 肥満食道がん(腺癌)、大腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん、腎臓がん、膵臓がん
内臓脂肪大腸がん
高身長大腸がん、乳がん(閉経後)
赤肉・加工肉大腸がん
アルコール口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん
アフラトキシン肝臓がん
飲料水中の砒素肺がん
β-カロテンのサプリメント肺がん
可能性大 肥満胆嚢がん
内臓脂肪膵臓がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん
成人期の体重増加乳がん(閉経後)
出生時過体重乳がん(閉経前)
高身長膵臓がん、乳がん(閉経前)、卵巣がん
アルコール肝臓がん、大腸がん(女性)
塩蔵食品・塩分胃がん
中国式塩蔵魚鼻咽頭がん
飲料水中の砒素皮膚がん
マテ茶食道がん
食事からのカルシウム前立腺がん

World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research. Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. AICR, Washington DC (2007)

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

このほかに、特定のがんの原因となるウイルスや細菌もあります。例として、C型肝炎ウイルスが肝臓がんを、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんを引き起こすことがあります。
また、ダイオキシンやアスベストなどの環境汚染物質や、環境ホルモンと呼ばれる物質にも発がん性があると言われています。