多くの人を悩ませる「花粉症」。日本で多いのはスギ花粉症ですが、世界にも花粉症はあります。
現代病の代表とも言われる花粉症。その花粉症が世界で初めて「病気」として発見されたのは、1819年のイギリスと言われています。農夫が干し草を扱っているときに突然、くしゃみなどを発症したり、鼻水や、眼の充血、ときには喘息のような症状を起こす人もいました。しかし当時は、花粉のアレルギーという考えはなく「枯れた草に触ったため」と思われ「枯草熱」と名づけられたそうです。そして後の1873年、本当の原因がイネ科の牧草の花粉であると立証されました。このイネ科花粉症は、世界の三大花粉症のひとつとして、現在も人々を悩ませています。
主にヨーロッパ各地でみられます。
家畜の肥料として欠かせないイネ科の牧草カモガヤが原因となっています。
日本では4~6月頃、北海道と東北地方で見られます。これは、お米をとるために作っているイネではなく、牧草や芝草として、日本へ導入された外来種の花粉が飛散し、空き地や道ばたで繁殖し広がりました。
主にアメリカでみられます。
1900年頃から注目されていて、アメリカでは5~15%の人が、かかっていると言われています。
日本では9~10月頃おこる秋の花粉症として有名です。ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれ、帰化植物として日本に入ってきた当初、多くの人が悩まされました。ブタクサ花粉症の人は、バナナやキウイなどを食べると、口のまわりや、のどがかゆくなったり、目が腫れるなどの食物アレルギーも多いと言われています。身に覚えのある人は、ぜひ注意しましょう。
日本のみでみられます。
我が国固有の植物・スギの花粉を原因とする、つまり日本にしかないスギ花粉症も、なんと世界三大花粉症にランク・イン!
1~4月にかけて猛威をふるいます。花粉症の約8割の原因が「スギ」。日本の花粉症と言えば、スギといってもよいくらいなのです。
三大花粉症のほかにも、こんなもので花粉症は起きることがあります。
スギの次に有名になってしまったヒノキ花粉症。ヒノキの花粉はスギ花粉と似ているため、重複してかかりやすいので注意しましょう。しかもスギのピークに続いて起こるため、かかると春の苦しい時期がさらに長くなってしまいます。
2~5月頃に花粉が飛散するカバノキ科には、シラカバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ、ハシバミ、クマシデなど、アレルギーを起こしやすいものがあります。
もともと日本に多くあったブナ科には、ブナ、コナラ、シイノキ、クリ、マテバシイなどがあります。しかし、ブナ科の植物はスギ、ヒノキの植林で減少したため、比較的少なくなりました。
有名なキク科の花粉症はブタクサですが、それ以外にもヨモギやクワモキなどで花粉症を起こすことがあります。花粉が飛散するのは8~10月頃です。
野菜や果物の専門的な栽培で起こる花粉症。モモ、ナシ、ブドウ、イチゴ、トウモロコシなどが確認されています。