疾患・特集

これがストレスの正体だ

ストレスは、とかく悪者として扱われがちですが、ストレスはなくても困るようです。「人生のスパイス」と表現されることさえあります。そもそもストレスって、一体何なのでしょうか。

「ストレスがまったくない人」は存在する?

現代社会はストレス社会といわれます。調査によれば、全体の55%の人が「精神的疲労やストレスを感じている」とも。とくに多いのが20代後半の女性で、70%超だそうです。

では、残りの人はストレスがまったくないのかというと、そういうわけでもありません。あまりにも忙しすぎて、自分がくたびれていることに、気づいていないだけかもしれないのです。「あーストレスたまる」「肩こった」と弱音を吐いてばかりいる人のほうが、適当に休みをとったりペースダウンしたりするので、あまり大きな病気にはならないかもしれません。むしろ「ストレスなんてたまっていないよ。元気元気!」という人のほうが、頑張りすぎて、ある日突然大きな病気としてあらわれる危険性を秘めています。

自分のストレスに早く気づいて、それを少しでも解消することが大切です。

「ストレス」とは、一体何?

ストレス

ストレスとは、医学的にいうと「なんらかの刺激が体に加えられた結果、体が示したゆがみや変調」のこと。そして、その原因となる刺激のことを「ストレッサー」といいます。
ゴムボールを指で押すと、ボールはゆがんだ状態になります。これが「ストレス」です。そして、押している指が「ストレッサー」ということになります。指を離せば、ボールは元の丸い形に戻ります。しかし、いつもいつも抑えつけていたら、ゆがんだままとなります。体も同じことです。

ストレッサーは、大きくは4つに分けられます。

  • ●物理的ストレッサー
    高温や低音による刺激、放射線や騒音による刺激など。
  • ●化学的ストレッサー
    酸素の欠乏・過剰、薬害、栄養不足など。
  • ●生物的ストレッサー
    病原菌の侵入など。
  • ●精神的ストレッサー
    人間関係トラブル、精神的な苦痛、怒り・不安・憎しみ・緊張など。

このうち、「ストレスがたまっている」と感じる人を悩ませている原因のほとんどは、最後の精神的ストレッサーです。しかも、これは複雑で、解決も困難です。

ストレスゼロだと人間はどうなるか?

アメリカの心理学者が、ある面白い実験をおこないました。 ストレス(刺激)がまったくない部屋で過ごすと、人間はどうなるかを調べたのです。結果は、以下の通りでした。

  • ●体温調節機能の低下
    気温の変化に合わせ、汗を出したり鳥肌を立てたりして体温を調節するはたらきが、にぶくなります。
  • ●暗示にかかりやすくなる
    何か指示されると、間違った指示であろうとそれに従い、「もう立っていられない」と言われると、言葉通りに足の力が抜けてしまいます。
  • ●幻覚・妄想
    刺激(ストレス)から隔離してマインドコントロールし、社会的に問題になった例も多いようです。

つまり、体と心のバランスを保つためには、適度なストレスが必要です。