疾患・特集

「自己効力感」について

自己効力感:self-efficacy

行動科学のお勉強シリーズ第三弾は、自己効力感:self-efficacyについて。

self-efficacy:自己効力感とは、実際にその行動を生起することができると自信を持つこと。
つまり、行動変容するテーマに対して、どれだけ「できる」と思っているのか、自信があるのかということである。

これは日常生活の中で、実は何気なく誰もが経験しているものである。
「できる」と思えば行動も起こるが、自信がなければなかなか行動も起こらない。
あまり例えが適切ではないかもしれないが、最近のコマーシャルにあったと記憶する言葉を引用すると、「世の中を変えられる」と思った人が「世の中を変えてきた」のである。

さて、健康について。

あなたはどんな自己効力感が高いですか?低いですか?

自己効力感はそれぞれの健康行動に特異なものである。
自尊心のように全般的な傾向としての自分の能力や存在価値についての認知とは異なる。
運動について高い自己効力感を持っている人が、ほかの行動、例えば低脂肪食への変さらについては低い自己効力感を持っていることもあり得るのである。
そう言えば、運動の後に飲むビールのうまいこと、うまいこと。
消費したエネルギーがお釣りつきで返ってきたりする。

さらに、同じ行動領域についても、状況に応じて自己効力感のレベルが異なることもある。
通常の勤務形態の時には一日30分間のウォーキングについて高い自己効力感を持っているが、出張中は同じ行動についてそれほど高い自己効力感は持てないといった例である。

自己効力感は健康行動変容の成功への重要な鍵をにぎっている

では、目的とする行動変容に関しての自己効力感をどう高めるか?
自己効力感は高めることはできるのか?
答えは、「できる」。

実際、健康学習者の自己効力感を上げるような健康教育介入が試みられており、その成功例が、運動、禁煙、栄養、ストレスマネジメントと幅広い領域で報告されている(e.g.、DeBuskら、1994; Taylorら、1996)。

次回の行動科学のお勉強シリーズは自己効力感を高める方法を考えてみたい。