疾患・特集

食塩と血圧の関係

低塩食と減塩食の違いは?

低塩食と減塩食ともに厳密に定義されているわけではありません。1日の食塩5g以下を低塩というか減塩というかは、人によりさまざまです。一般的には、減塩よりも低塩の方が、より制限が厳しいと考えられています。
厚生労働省の「健康づくりのための食生活指針」や第4次改定日本人の栄養所要量では、生活習慣病の予防のためには、食塩は1日10g以下が望ましいとされています。現在の日本人の食塩摂取量は12~13g/日ですから、2~3gの減塩は必要というわけです。

食塩と血圧の関係は、古くから研究されてきた

食塩感受性試験では、1日約0.5gという低塩食を1週間続けて血圧の変化を見ます。10%以上下がれば、食塩感受性の可能性が高くなります。
試験は、さらに高食塩食を1週間続け、血圧の変化を見ます。この場合の高食塩とは、1日約14.6gです。食塩を多く取った場合も10%以上上昇すれば食塩感受性とみなされます。食塩感受性の正確な診断は、低塩食、高塩食のいずれの場合も10%以上血圧が変化する時、確定されます。

食塩と血圧に関しては、長い研究の歴史があります。
日本では、1965年(昭和40年)頃は平均で1日19.2gぐらい取っていました。
1985年(昭和60年)頃になって、ようやく12~13g程度に下がってきました。食塩の摂取量が多い地域では、血圧の高い人が多く、脳卒中が多発していたため、減塩運動が続けられ、12~13gに減ってきたわけです。

当時の研究で、食塩をほとんど取らない地域の調査も行われました。
アマゾンのヤノマモ・インディアンは1日0.1g以下、ニューギニア原住民は1g以下でした。彼らの血圧は、ほかの食塩摂取量の多い地域の住民に比べて明らかに低く、このことが高血圧の改善に減塩指導がなされた根拠になっています。