おしえて先生

ミソフォニアの疑いについて

おと(f3dd88a335)・20~29歳女性 2023/06/06 投稿

数年前から、体調が悪い時に音がやたら響くようになりました。
ここ2ヵ月ほど、特定の音に対してとても不快感を覚えてその場から逃げ出したくなるほどです。
家では自室があるため何とか対処できるのですが、職場ではそうもいかず、特定の音(機械音、食器どうしが当たる音、文字を書く時の音、筆箱の中を漁る(あさる)音、紙をめくる音、タイピングの音、女性の低い声、女性よりは低いが男性としては少し高めの声など)に対して物凄く敏感になってしまい思わず耳を塞いでしまいます。
聴覚過敏かと思い耳栓や少量の音楽を流したイヤホンを使用していたのですが、あまりにも耐えきれずに職場で泣いてしまうほどでした。
意識し過ぎているのかと思い気にしないようにすればするほど限界でした。
これはミソフォニアなのでしょうか?ただのワガママなのでしょうか?耳鼻科、精神科ともにどちらも行きましたが、なんともないと言われました。
精神科に関しては「多分精神的な問題なので少しずつ解決して行けたらいいですね」と言われました。
この不快感のせいで仕事にも支障が出ている上、生活にも関わることなので、ここで質問させていただきました。

精神科医を受診、原疾患の有無を診断していただくことが重要

ご体調が悪い時に音が響くという症状はメンタルヘルス科を受診する患者様がしばしば体験する症状で、原疾患(うつ病やパニック障害など)が軽快すると音も自然と気にならなくなるようです。
ご相談者様は数年前から、体調の悪い時のみ音が気になるとのことでしたが、最近は恒常的に気になるようですね。
ご相談者の気になる特定の音は、ミソフォニアの方が気になる音と質が違うように思いますが、状態はミソフォニアと考えてよいと思います。
現在のお仕事でのストレスやプライベートレベルでのストレスはありますか?職場での適応などはいかがでしょうか?適応障害の可能性も否定できないです。
そのほか睡眠や食欲の不調、気分の波があるようでしたら、何らかのメンタルヘルスの疾患に罹患している可能性もあります。

いろいろ書きましたが、結論としては
1.現在の症状はミソフォニアと考えられる。
2.ミソフォニアは種々のメンタル疾患の症状の一つとして出現することはまれではない。
3.恒常的に抱えているストレスによりミソフォニアの症状が出現している可能性が高いため、精神科医を受診し、原疾患の有無を診断していただくことが重要
4.原疾患が軽快すると現在の音が気になるという症状も軽快していく。


最後に
★精神科医受診の際に、いきなりミソフォニアと伝えても理解してもらえないことも多いです。
そのため他の症状が随伴しているかも必ずご相談ください。
★音が気になるという方を診察いたしますと、他の心身の不調があることがほとんどですが、不調がない方も抗不安薬でよくなっていくことも経験しています。
(一般名:ロフラゼプ酸エチルやブロマゼパム)メンタル疾患の随伴症状としてのミソフォニアでなくても抗不安薬を処方していただくこともご相談ください。

ご回答いただいた

牧野真理子 先生

ドクター
ご活躍の場所 牧野クリニック(東京都中野区東中野) 診療部長
東邦大学医学部客員講師
JICA(国際協力機構)顧問医
優秀臨床専門医
アサヒビール産業医
オレンジページ産業医
日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
ご専門 心身医学(心療内科)
女性の心身症(摂食障害など)
職場のメンタルヘルス
異文化間メンタルヘルス
ご経歴 国公立大学卒業後、北里大学医学部卒業
メルボルン大学医学部大学院卒業
著書 『誰も私をわかってくれない:摂食障害・心の迷路』(悠飛社:1999)
『異文化ストレスと心身医療』(新興医学出版社:2002)
『もういいや!!と叫んで心の毒出しができるメンタルデトックス』(祥伝社:2005)
『うつにもいろいろあるんです。』<漫画 細川貂々> (オレンジページ:2011)

【共著】
『医療看護学』(中山書店)
『職場のメンタルヘルス』(南山堂)など多数

【連載】
『からだの本』(オレンジページ)「女性とうつ」連載中
所属団体 日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
先生からの一言 メンタルヘルスの疾患も早期発見が早期回復につながります。
小さなことと思ってももし悩んでいるようでしたらお気軽にご相談ください。