おしえて先生

暗いところが怖い

オレンジ(b823b59793)・40~49歳女性 2020/02/12 投稿

うつ病になって4年になります。躁状態はありません。
最近、地下道、トンネル、地下鉄等が怖くて仕方がありません。
一生地上に出れないのでは?と息が苦しくなります。映画館も怖いです。
ちょっと暗いエレベータも無理です。
寝る時も常夜灯を付けて寝ています。夜中に物音がすると誰か潜んでいるんじゃないかと怖くなり動悸がします。
夜道も歩けません。
どうしたら症状が改善されるのでしょうか?

今はワイパックス錠0.5mgを1日3回1錠 パキシルCR錠25mgを夕食後に2錠、就寝前にリボトリール錠0.5mg・ルネスタ錠3mg・トフラニール錠25mgを各1錠服用しています。 エビリファイ錠0.5も処方されましたが嘔吐が激しく中止になりました。

暗いところが怖いというご相談

うつ病の治療中の方ですね。治療中にご相談者の方のように不安障害やパニック障害(暗いところや狭い空間が怖くなってしまう)が併発することは、まれではありません。
本来のうつ病が改善いたしますと、自然に軽快する患者様も多いのですが、時を待つのもお辛いですよね。

怖さは、脳の偏桃体という部分が敏感になっているので、この偏桃体に働きかけセロトニンを多く分泌することのできるお薬が有効です。
パキシルも、その一つで、今の処方も悪くはないですが、私の臨床経験では、特に女性には塩酸セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)、男性ですとエスシタロプラムシュウ酸塩(商品名:レクサプロ)が不安を伴ううつ病には効果があるように思います。
また、これらのお薬は効果発言まで2週間くらいかかるので、この2週間の間だけ抗不安薬のロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックス)1~2㎎を一錠就寝前に服用すると24時間作用型のお薬のため、翌日に効果を発揮いたします。副作用の眠気が出る方が多いのでまずは一錠が良いでしょう。半錠から使用することも多いです。
今抗不安薬は依存性があることで敬遠されがちですが、このお薬は抗不安薬の中でも依存性が形成されにくいため最初の2週間の服用でしたら安全性には問題ありません。
主治医とご相談されて、今の処方でももちろん間違っていないのですが、抗うつ薬の変更や抗不安薬を取り入れるなどご相談できるとよいですね。

薬以外では、深呼吸が有用です。吐くことを意識する深呼吸をするのです。「はー」と吐き続けて5秒くらいで少し吸うパターンを5回くらい、症状がない時に試みてください。患者様によっては効果が出ることも多いです。
それから睡眠の質も重要です。今のお薬の組み合わせは良いと思いますが、もし眠りに問題があるようであれば主治医とご相談されてください。
もし薬を変更することに不安があるようでしたら、漢方薬を今の処方に加えていただいてもよいと思います。半夏厚朴湯などは不安障害の代表的な漢方です。
時薬という言葉がありますが一生うつ病ということはありません。必ず良くなると思って毎日を大切にお暮しください。

ご回答いただいた

牧野真理子 先生

ドクター
ご活躍の場所 牧野クリニック(東京都中野区東中野) 診療部長
東邦大学医学部客員講師
JICA(国際協力機構)顧問医
優秀臨床専門医
アサヒビール産業医
オレンジページ産業医
日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
ご専門 心身医学(心療内科)
女性の心身症(摂食障害など)
職場のメンタルヘルス
異文化間メンタルヘルス
ご経歴 国公立大学卒業後、北里大学医学部卒業
メルボルン大学医学部大学院卒業
著書 『誰も私をわかってくれない:摂食障害・心の迷路』(悠飛社:1999)
『異文化ストレスと心身医療』(新興医学出版社:2002)
『もういいや!!と叫んで心の毒出しができるメンタルデトックス』(祥伝社:2005)
『うつにもいろいろあるんです。』<漫画 細川貂々> (オレンジページ:2011)

【共著】
『医療看護学』(中山書店)
『職場のメンタルヘルス』(南山堂)など多数

【連載】
『からだの本』(オレンジページ)「女性とうつ」連載中
所属団体 日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
先生からの一言 メンタルヘルスの疾患も早期発見が早期回復につながります。
小さなことと思ってももし悩んでいるようでしたらお気軽にご相談ください。