おしえて先生

健康豚は体にいい?

HIDE(#)・40~49歳男性 2008/11/28 投稿

豚しゃぶが好きで良く食べます。お店の方は、良い豚の脂は融点が低く流れ出し、体内にコレステロールとして溜まりにくいと良く言われますが、どうでしょう?食味だけの違いでしょうか?

消化吸収や消費エネルギーなど様々な関連がありますので、いちがいに説明することは難しいようです。

こんにちは、HIDEさん。本日は豚の脂の吸収についてのご相談ですね。
まず、融点について説明します。
融点とは、固体(結晶)が液体へと溶ける温度のことをいいます。
農林水産省のデータから豚の脂の融点は、30度~50度に分布し、多くは44~45度の範囲であったと報告されています。
確かに融点が低いことで旨みをひきたてられることもあるようです。例えば、イベリコ豚は融点が37度くらいで人間の体温に近いことが味をひきたてる要素と言われています。旨みに関しては、融点よりも影響を受けるのはアミノ酸(たんぱく質が分解されたもの)の量になります。
黒豚と一般豚の比較では黒豚のアミノ酸量の合計は約1.5倍ですが、融点は黒豚のほうが高いようです。
次に、本題のコレステロールについてです。
脂には大きく分けて飽和脂肪酸(いわゆる動物性脂肪)、不飽和脂肪酸(サラダ油、オリーブ油、リノール酸など)、トランス脂肪酸(不飽和脂肪酸と水素が化学変化した脂)の3種類があります。さらに、不飽和脂肪酸をオメガ3系(魚の油のDHAEPA)、6系(リノール酸、アラキドン酸など)、9系(オリーブ油に多く含まれるオレイン酸など)と分類しています。
飽和脂肪酸は、血中の脂肪分を増やし、血液どろどろの原因になります。
不飽和脂肪酸は、細胞や組織の栄養と関連が深く大事な必須脂肪酸です。しかし、オメガ6系の過剰摂取は、血中の悪玉コレステロール(LDL)を上げ善玉コレステロール(HDL)を下げることから動脈硬化の原因になる、アレルギー疾患を引き起こす、と言われています。
逆に、オメガ3系は、摂取不足が脳機能の低下やアレルギー症状悪化の原因となることがわかっており、積極的に摂ったほうがよい脂と言えます。
但し、豚の脂の成分は、多くは飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の6系です。
良い豚の定義が難しいですが、価格としては通常大型豚(一般豚)より中型豚(黒豚)のほうが高いようです。食品成分表から脂の成分を比較すると、大型豚より中型豚のほうが同じ部位でも脂質は多いです。
しゃぶしゃぶは高温での調理になるため脂をおとすことに関しては、種類を問わずよい手段だと思いますが、摂取した脂肪を身体が吸収する過程には、消化吸収に関わるビタミンや脂肪を排泄する食物繊維との関係、また消費エネルギーとの関係もあるため、いちがいに「良い豚 = コレステロールが上がりにくい」の関係を説明することは難しいようです。
食べる量と調理法、頻度、なども大事な要素になることでしょう。
温かいものが美味しく感じる季節になりました。食べすぎに注意しながら、お食事を楽しんでくださいね。

ご回答いただいた

HelCナース

ナース
ナースからの一言
「おしえて先生」には日々、さまざまな質問が寄せられています。
なかには「お薬を飲み忘れない方法を教えて欲しい」「自分にあった医療機関を探したいけど、どうやって探せば良いかわからない」など、医師の専門性だけではお答えできないようなお悩みをいただくことが多くあります。そういった身近で幅広い質問にできる限りお答えしたいという想いから、シミックグループで働くスタッフが回答しています。シミックグループでは、看護師資格をもち、なおかつ臨床経験の豊富なスタッフが大勢働いています。