気分の落ち込み・感情の高ぶりの波が大きい 双極性障害ってどんな病気?

双極性障害とは?

気分の波がみられる、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患

双極性障害は、気分が高揚し、活動が増える「躁状態」と、落ち込んで、やる気が失せてしまう「うつ状態」という対極にある状態が繰り返し現れる(気分の波)精神疾患です。うつ病が、うつ状態のみがみられる「単極性」であるのに対して、うつ状態と躁状態の両方があることから「双極性」と名付けられました。かつては「躁うつ病」と呼ばれていた病気です。躁状態の激しさに応じて、I型とII型に分類されます。

【I型】
激しい躁状態がみられます。周囲の人に高圧的な態度をとったり、高額の買い物により借金を抱えたりして、仕事を失う、家庭が崩壊するといった社会的な問題が起きやすくなります。
【II型】
躁状態がI型のようにはっきりとは現れず、「軽躁状態」と表されます。そのため、躁状態が見逃されやすい傾向があります。
双極性障害における気分の波

双極性障害を発症するきっかけとは?

双極性障害がなぜ起きるのか、はっきりした原因はまだよく分かっていません。しかし、次のような要因が複雑にからみあい、発症に至ると考えられています。

遺伝子

親など、同じ家系に双極性障害の患者がいる人は、双極性障害を発症する確率が高いことから、遺伝も関係していると考えられています。ただし、その家系だからといって、必ず発症するわけではありません(文献1)(文献2)(文献3)

生育歴

幼少期を過ごした環境も、双極性障害の発症に関係すると考えられています。親からの虐待やネグレクト(育児放棄)の経験と、発症との関係は分かっていません(文献1)

ストレス

日常生活で受けるストレスのほかに、身近な人の死・結婚・出産・就職などのライフイベントがきっかけになると考えられています(文献1)(文献2)

性格・気質

社交的で明るく、気配りができる「循環気質」の人が、双極性障害になりやすいと言われています。ただし、几帳面で責任感が強い「執着気質」の人が発症しやすいという説もあり、画一的に判断することはできません(文献1)

その他

生活リズムの変化による睡眠不足、うつ病の薬を服用している人が躁状態になる「躁転」、季節の変化なども、双極性障害を発症するきっかけになると言われています(文献1)

専門医による、早期の正しい診断と治療が必要

躁状態の人は、それが病気の症状とは思わず、調子が良いとさえ感じるため、自分から通院することはまれです。うつ状態のときに通院しても、躁状態について医師に伝えず、うつ病と診断されることも多くあります(文献1)(文献2)(文献3)うつ病と双極性障害では、治療に用いる薬が異なるため、うつ病と診断されたままでは、正しい治療を受けられない可能性が高くなります。
双極性障害は最悪の場合、自らの命に手をかけかねない病気であり、早期に正しく診断され、治療を受ける必要があります(文献4)。できるだけ早く正しい治療を受けられるように、精神科や神経科などで専門医に診てもらうことが大切です。

家族へのアドバイス

双極性障害の患者さんに対する家族の接し方は、病状に少なからず影響を及ぼすと考えられます。発症の原因探しをして根拠なく問いつめる、病気に対して偏見をもつといった態度は、患者さんを苦しめることになります。毎日つきっきりで世話を焼いたり、こまごまと口出ししたりせず、かといって患者さんと同じように興奮して言い合いをしたり、腫れ物に触るような扱いをしたりせず、患者さんとはほど良い距離感で自然に接することを心がけましょう(文献1)(文献2)(文献3)

(参考資料)
  • 文献1:『双極性障害(躁うつ病)のことがよくわかる本』(講談社)
  • 文献2:『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』(主婦の友社)
  • 文献3:『双極性障害(躁うつ病)とつきあうためにVer.6』(日本うつ病学会)
  • 文献4:『みんなのメンタルヘルス総合サイト 双極性障害(躁うつ病)』(厚生労働省ホームページ)
監修医: 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 総長 樋口 輝彦 先生
九州大学大学院 医学研究院 精神病態医学分野 教授 神庭 重信 先生
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