スギ花粉症の根治も期待できる舌下の錠剤による治療が可能に

花粉症の予防策のひとつ「アレルゲン免疫療法」(減感作療法ともいいます)について、大久保公裕先生にお話を伺いました。この治療法は、花粉が飛散する時期にツライ症状を経験しなくて済み、患者さんによっては根治も期待できます。皮下注射と舌下療法があり、2018年6月に舌下免疫療法の舌下錠剤による治療が受けられるようになりました。翌年の花粉飛散を見越して始めてみませんか?

アレルゲン免疫療法(減感作療法)を知っていますか?

2018年は、スギ花粉が多く飛散したようです。毎年この時期が憂鬱(ゆううつ)になる方に、予防策として、アレルゲン免疫療法(減感作療法ともいいます)があります。

アレルゲン免疫療法は、スギ花粉が飛散する前から開始して、スギ花粉のアレルゲンエキスを少しずつ摂取してスギ花粉症への免疫をつけることにより、花粉が飛散する時期にツライ症状を経験しなくて済むこと、患者さんによっては根治も期待できる治療法です。

皮下注射と舌下療法(スギ花粉のアレルゲンエキスを舌に垂らす服用方法)がありますが、2018年6月に舌下免疫療法の舌下錠剤による治療が受けられるようになりました。日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器科学 教授の大久保公裕先生に聞きました。

花粉飛散

毎日服用して長期間継続すると、スギ花粉症に対する免疫をつけることができる

スギ花粉のアレルゲンエキスを用いた舌下免疫療法は、2014年に保険適用となりました。 スギ花粉が飛散するよりも前の段階から投与を開始して,最初の数週間はエキスを増量し、その後は一定量の服用を維持していきます。

アレルゲンエキスを服用して長期間にわたって体に慣れさせて、スギ花粉アレルギーに対する免疫をつけることができると、スギ花粉の飛散期に鼻水やくしゃみ、眼のかゆみといった症状が起こりにくくなることが期待できます

免疫をつけるために、数ヵ月以上の期間が必要となるので、服用を開始するのは前年からとなります。患者さんによっては、数年間にわたって継続すると、スギ花粉症が根治する可能性もあるという治療法です。

翌年の花粉飛散を見越して、5月や夏休み中から舌下免疫療法を開始

舌下免疫療法の課題としては、毎日服用することと長期間継続することが挙げられます。根治を目指す場合は治療期間が数年になります。いったん、服用をやめると免疫をつけることも途切れますので、最初からやり直しになります。

長期継続のためには自己管理が重要になります。大久保医師によると、

  • 薬袋を冷蔵庫に貼り、起床時に冷蔵庫の扉を開けると薬袋が目に入るようにする
  • 会社や学校に行った際にまず服用する

など、独自に工夫を凝らしている患者さんは多いとのこと。

また、4月後半〜5月は飛散シーズンが終わるので、患者さんは気が緩んでしまって中断する、あるいは連休で服用を中断しがちになることが考えられます。夏休みがある7月〜8月も中断してしまうケースが考えられます。

医療機関では、患者さんが脱落しないように、その時期に患者さん向けにアンケートを実施して意識付けることや声掛けするといった工夫をしています。

大久保医師によると、長期に継続するほど効果を実感できる治療法なので、花粉症を治したい意欲を強く持っている患者さんや、治療法について理解している患者さんでは、花粉の飛散シーズンが終わった5月以降や、学生さんなどでは夏休み中から舌下免疫療法をスタートさせる方が多いとの話でした。

舌下錠剤の服用方法は、舌下に1分間保持した後に飲み込む

スギ花粉舌下液を用いた舌下免疫療法は医療機関で受けることができます。スギ花粉のアレルゲンエキスを舌に垂らして2分間そのままの状態にし、その後に飲み込むという方法で服用します。

最近ですが、舌下の錠剤が6月から医療機関で処方してもらえることになりました。大人だけではなく、12歳未満の小児のスギ花粉症患者さんにも治療対象が広がりました。

舌下免疫療法は、処方できる認定医師がいる医療機関で受けることができます。
服用方法としては、錠剤を舌下に1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがいや飲食を控えることに注意します。

錠剤は、エキスの薬剤と同様に毎日の服用が必要となりますので、長期継続のために自己管理を工夫することが重要です。医療機関の方に自己管理の方法を相談することも手です。医療従事者とともに花粉対策を講じる治療法といえるでしょう。

公開日:2018/05/14
監修:日本医科大学大学院 頭頸部・感覚器科学 教授 大久保公裕先生
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