今さら聞けない「食育」基礎知識

食育とは?

食育

あちこちで目にする「食育」の文字。そもそも食育とはどういう意味なのだろう。さまざまな解釈がされているようだが、簡単に言えば、「食の教育」だ。食育基本法の前文を引用すると、「様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」こと。つまり、現代社会において、自分や家族の健康な体を作るためには、『食』も学ぶ必要があるということだ。

食育の背景とは?

社会的背景

1. 外食・中食産業の発達

都市はもちろん、たいていの町村では、チェーンから個人経営の店まで外食できる店があって、コンビニ・スーパー、惣菜店、百貨店と中食を扱う店も多い。外食・中食の発達により、好きな食物だけで簡単に食事が済ませられるようになり、栄養バランスの偏りを招く一因となった。

2. 健康ブーム

健康にいいとされる食品に関する情報はあふれている。しかし、栄養や食物に関する総合的な知識がなければ、何をどう摂ればいいのか適切な判断ができない。情報を正しく選択して健康に役立てるために、知識を身につける必要性が高くなっている。

3. 食の安全性

最近注目を浴びている食品添加物問題。BSEへの不安を背景にしたアメリカ産牛肉の輸入問題。そして農薬などによる食品汚染に対する不安。食の安全性を気にする人が増え、適切な判断基準を広く共有することが求められている。

健康面からみる背景

1. 朝食を抜く人の増加

厚生労働省の平成16年「国民健康・栄養調査」では、20代では男性で約3割、女性は約2割が朝食を抜いている。親が朝食を食べない影響か、子どもや幼児の朝食抜きも増え、朝食を出す小中学校も出てきているほどだ。

2. 肥満の増加

文部科学省の「学校保健統計調査」では、子どもの約10人に1人が肥満傾向にある。「国民健康・栄養調査」では、30〜60代の男性の約3分の1が肥満だ。

3. メタボリックシンドロームの危険性が増加

「国民健康・栄養調査」では、脂肪からのエネルギー摂取が25%を超えている人が、成人男性の約4割、女性には約5割もいる。そして、日本病院会の予防医学委員会の全国調査では、人間ドック受診者のうち、なんと7割の人が生活習慣病の予備軍だった。子どもの糖尿病や動脈硬化も増加している。

食育が必要な理由

栄養のバランスが取れた食事をする

大人から子どもまで、健康状態に問題のある人が増加している。脂肪や炭水化物が多く、野菜の少ない食生活を続ける大人。牛丼やカレーなどの一品ものでランチを済ませたり、居酒屋で揚げ物ばかりを食べ続ければ、体にいいわけがない。野菜嫌いや食欲のない子ども。チョコレートにポテトチップスなどの脂肪や糖分の多いおやつを大量に食べれば、食事はおなかに入らない。どれも「おいしいもの」ばかり。

いまは、偏った食生活の誘惑が多い時代なのだ。外食では、脂肪分の多い食事が中心になりがちだし、おやつや清涼飲料水は脂肪や糖分が多い。おいしいもの、手早く食べられるもの、と流されてしまえば、やがては生活習慣病になってしまう。

誰もが栄養のバランスが取れた食事をすること。そして、町にあふれる食品について、的確に選ぶ知識を身につけること。そのためにも食育は必要なのだ。

食育基本法とは

「食育基本法」は、平成17年7月15日に施行された法律だ。前文に書かれている法律の目的を簡単に紹介しておこう。
一つ目は、子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につける基本として「食」を重視すること。食育そのものはあらゆる世代に必要であるが、子どもたちに対しては、心身の成長と人格の形成に大きな栄養を及ぼすものだからである。
二つ目は、日々の忙しさのなかで食の大切さを忘れがちな大人たちについて。食に関する情報が氾濫する中で、食生活改善、食の安全性の確保のために、自ら食のあり方を学ぶことが求められている。また、地域の食が失われる危機にある。

そういった背景を元に、国民一人ひとりが「食」に関する意識を高め、理解を深めて食に関する適切な判断を行う能力を身につけ、健全な食生活を実践するために、家庭、学校、保育所、地域などを中心に、食育を推進していくことが課題である。そのために食育の基本理念を明らかにして方向性を示し、国や地方公共団体、国民の食育推進に関する取り組みを総合的、計画的に推進するために制定された法律である。

更新日:2006年10月10日

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