性感染症(STD)治療の現場から〜性感染症からあなたとパートナーを守るために

実際に治療に当たっている澤村正之先生に、医療現場から見た性感染症(STD)の実態についてうかがってきました。近年流行の性感染症や、検査や治療の方法、治療に保険が使えるかどうかなど具体的なアドバイスをご紹介します。

性感染症(STD)からあなたとパートナーを守るために

澤村正之先生
澤村正之先生

「今そこにあるSTD」。新宿さくらクリニック院長で北里大学医学部泌尿器科非常勤講師も勤める澤村正之先生に、最前線の医療現場から見たSTDの実態についてうかがって来ました。厳しくもほんわかしたムードの澤村先生、とても気さくにお話してくれました。

Q. 性感染症全般の患者数が年々増加していると聞きましたが?

「若い女性の間で急増しています。例えば20代前半の女性患者の割合は10万人に2600人、まだ症状に現れていない予備軍はその5倍の13,000人にのぼるという計算があります。症状が出ている人、出ていない人を合わせると15%を超えてしまいますね。
10代女性の感染率増加も深刻です。STDは生殖年齢に関係ある病気だと考えれば、やっぱり女性の方がませているということでしょうか。その一方、予防に対する意識&知識を持たないので、感染してはうつしていくということをあちこちで繰り返しているのです。STDは放置しておくと不妊症や、場合によってはがんの原因になったり、HIVとの合併症の危険性もあり、社会的に大変重要だと思っています。
またあまり知られていないことですが、1993年に男性機能補助剤の使用が解禁になって以降、実は55歳以降の男性のSTD感染率もアップしているのです。高齢者の性生活は重要な問題ですが、STD感染についてももっと注意を払って欲しいと思います。」

Q. 最近特に注目されている性感染症(STD)ってありますか?

「ひとつは耐性淋菌の感染者が増加していること。淋菌の学術名はナイセリアゴノレアといいます。淋菌の親戚菌・ナイセリア属はもともと喉にいる常在菌なのですが、風邪薬等でもともと薬剤耐性を身につけていたんですね。そこへオーラルセックスの一般化で淋菌のフィールドが喉にも広がり、ナイセリア属の薬剤耐性遺伝子を受け取ってしまったと考えられています。このため薬剤を投与してもなかなか除菌できなくなっているのが現状です。菌はどんどん進化していますので、教科書に書いてあるとおりに治療しても効かない事がありますので、医療現場としても厄介な問題です。さらに尖形コンジロームの原因、ヒトパピローマウイルス(HPV)の蔓延です。放っておくと女性の場合、子宮頸がんの誘引になり、危険です。」

Q. 性感染症(STD)について、つい他人事だと思ってしまうのですが…

「治療を受けに来た方でさえ、そうなんですよ。『自分はうつされた、自分は悪くないのに』という、被害者意識が強いんです。困るのは自分ですけどね。とにかく性教育の徹底から意識改革をするしかありません。熊本悦明先生(性の健康医学財団会頭)によると今でも若い女の子たちは、彼の要求でコンドームをつけないことが多い。自分から『コンドームつけて』って言えないんだそうです。きっと彼に嫌われちゃうとか、遊んでるヤツだと思われるのが怖いんですね。まだまだ男尊女卑の意識が根強いんだなあ、と思いますよ。欧米の男の子はセックスの際、自分の身を守るために当然コンドームをつけるのが常識になっているというのに。STDに対するこの認識の差は大きいですよ。この国でも生きた性教育をして行かないと、とても将来が不安ですね。」

Q. 性感染症(STD)から自分自身とパートナーを守るために知っておくべきことと実行すべきことを教えてください!

感染の可能性

大切なのはまず予防です。そのためには何しろコンドームを使うこと!インサートだけがセックスだと思っていたら大間違い。一緒にべたべたすることがセックスなんだから(笑)、最初から最後までコンドームをしてください。コンドームなしのセックスは、ハイリスクだと心しておくべきです。
もし病気にかかったら、必ず専門医に診せ、セックスパートナー(達)と一緒に治療を受けてください。STDのウイルスたちは本当に狡猾なやつらで、感染後早い時期に自覚症状を消して潜伏するんです。そのため治ったと思って治療をやめてしまい、また感染者を増やしてしまう人が多いのです。絶対に治療を途中でやめないこと!

Q. 性感染症(STD)の検査や治療ってどんなことをするのでしょうか?

「患者さんのプライバシーに配慮して、診断・治療を進めますから安心してください。検査も意外なくらい簡単にすみますよ。治療法や見通しを最初に伝えますし、顕微鏡所見を患者さんと一緒に見ながら説明したりもします。」

Q. 性感染症(STD)の検査や治療に保険は使えるんですか?

「STDの治療には保険がきかないと誤解している人がいます。確かに今の健康保険が完璧とはいえませんが、健康保険の範囲内でほぼ必要な検査と治療は受けられます。
まずは受診から 『いくらかかるかわからないから怖いので病院にこなかった』と言う人がいますが、健康保険を使えば治療費の3割だけ払えばいいので負担は軽くてすみます。こじれてからではかえって治療費は高くなります。それに、健康保険を使っても患者さんの情報が外部に漏れることはない仕組みになっていますので、そのような心配をすることもありません。事前に医療機関に問い合わせて、大まかな治療代を聞いておくのもよいでしょう。そうすれば親切かどうかもわかるし。
ただし、一流の薬や検査を使えばそれなりになります。安ければいいってものでも ありません(笑)。それからもうひとつ。後で保険証を持ってこられても、清算はできないんです。ですから、必ず!保険証持参で来院してくださいね!」

「STDを放置しておくことは、遺伝子に対する罪です。子孫を根絶やしにしてしまう可能性をはらんだ、民族の問題なんですよ」という澤村先生。日々たくさんの患者さんを診て、最新の治療のあり方を研究し続けています。
STDについて知りたい、もしかしたら…?という時は、一度クリニックを訪ねてみてはいかがでしょうか。

監修:新宿さくらクリニック(皮膚科・泌尿器科・内科)院長 澤村正之

更新日:2002年6月24日

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