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ヘルペスによって引き起こされる?ヘルペスとエイズの関係

エイズ感染の感染経路は主に性的接触によるものとされており、性器ヘルペス感染症も同様です。性器ヘルペス感染症になると、エイズに感染する危険性が高まり、さらに、エイズ感染者が性器ヘルペス感染症を伴っている場合、ほかの人に対し感染させやすくなります。

エイズの発生動向

厚生労働省エイズ動向委員会によると2014年の全国の新規感染報告件数は455件とのことです。前年の報告件数は484件で29件少なくなっています。年齢でいうと、エイズ患者は20歳以上に幅広く分布し、特に30歳代、40歳代に多い傾向が続いています。

また、エイズ感染の感染経路は主に性的接触によるものとされています。同委員会の2014年のエイズ患者報告例の中で、異性間・同性間を合わせると性的接触は感染経路別内訳の83.1%を占めています。

ヘルペスとエイズに関連性は?

ヘルペスは、大きく分類すると、単純ヘルペスと帯状ヘルペスに分けられますが、性器ヘルペス感染症はその単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる病気であり、主に性交渉によって感染するものです。

エイズ患者がヘルペスウイルスに感染すると、エイズウイルスによって免疫力が低下しているため、ヘルペスを発症しやすくなるだけでなく、危険度も増します。逆に、性器ヘルペスが何度も再発を繰り返すことでエイズウイルスに感染するリスクが高くなることもあります。性器ヘルペスに感染すると、粘膜に傷やただれが生じ、皮膚が弱まってしまうので、エイズウイルス以外の感染症にもかかりやすくなってしまいます。

体内にある単純ヘルペスウイルスをすべて消してしまうような治療法はまだ存在しませんが、症状の期間短縮や予防ができる有効な抗ウイルス剤があります。基本的には、抗ウイルス薬の外用薬や内服薬で治療を行いますが、ヘルペスが悪化し、全身症状、免疫不全などの重症例が出た場合には、入院しながら抗ウイルス薬の点滴静脈治療を行います。また、現在ではエイズウイルスに感染しても、エイズ発症を抑え、健康を維持することが可能になっています。

単純ヘルペスウイルスに感染しているかどうか自分で気づいていない人たちも多く、そのため性交渉におけるヘルペスとエイズの相互的な関係は複雑化しています。

予防して安心な生活を

ヘルペスの感染能力は非常に高いため間接的な接触でも感染してしまう場合もあります。手指などを介しての感染や、タオルや便座・食器などを介しての感染もありえます。つまり、感染源は「患部に触れたものはすべて」ということです。

しかし、タオルや食器などを介する際における感染能力の持続性は低いため、洗浄・洗濯後に感染能力は消滅します。発症が確認された場合には、タオルなど患部に触れるものの共有はしないようにしましょう。

性器ヘルペス感染症やエイズに感染する可能性を低くするためには、性交渉時にコンドームを正しく使用することが大切です。もし感染したとしても、処置が早ければ早いほど、症状は軽く済みます。少しでも症状が出た場合には、すぐに医師に相談しましょう。

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公開日:2016/10/31