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行動障害を感じた時に考える、子供の自閉症

自身の子供には、健康に育って欲しいと思うのが一般的な親の考えでしょう。ですが、体は健康に育っていても、気付かないところに病気が隠れている可能性があります。そのひとつの例として、自閉症が挙げられます。子供の自閉症について考えてみましょう。

そもそも、自閉症とはどのような病気?

自閉症と聞いて、病気の名前だけであれば聞いたことがある人は多いと思います。ですが、実際に自閉症の人と接したことがある人はあまり多くはないでしょう。

自閉症は発達障害のひとつであり、同じことを何度も繰り返して話し続けたり、体を揺らしたり手をヒラヒラさせたりするなどといった独特な症状があります。また、パニックに陥った時に、大声を上げる、人を攻撃する、自分で自分を傷つけるなどの行動障害が現れることも特徴のひとつです。ただ、この行動障害には、すぐに気付けるものと、そうでないものがあります。

行動障害を感じる時とは

子供が小さい時には、普通の子供と変わらないと感じる人が多いようです。ただ、3歳までには何らかの症状が見られると言われています。同じことを繰り返し話し、意味のわからない行動をとることも度々あると思います。ですが、後から考えると、行動が少しだけほかの子供と違っていたように思う親は多いようです。

自閉症の行動障害は、子供が小さい時には気付きにくいのが現状ですが、なかには、ほかの行動に比べると気付きやすいサインもあります。例えば、回転するものをずっと見ていたり、ひたすら物を一列に並べていたり、手順に異常に固執してしまうなどの症状は、自閉症の疑いがあります。
おもちゃを本来の使い方とは違う方法で遊ぶ、教えてもないのに時刻表を覚えてしまうなどの、「異常なこだわり」を見せるという特徴もあります。

最初に言葉の遅れに気付く

自閉症の子供に親が最初に気付く瞬間というのは、言葉によるものが最も多いです。まだ言葉が話せなかった時にはわからなかったけれど、なかなか言葉を話さない子と感じたり、話す言葉が少ないと感じたりすることで、もしかして発達障害なのではと考えます。

言葉が出てこないだけでなく、質問されてもオウム返しに繰り返すといった特徴があります。抑揚がなく一本調子で喋り、身振り手振りが取れないこともあります。自閉症の子は、自分の意思をうまく他人に伝えることができないのです。

視線が合わないことには気付きにくい

また、言葉の遅れは特に気になったこともないし、会話にも不自由はしていないという場合でも、行動障害がある場合があります。特に、視線を合わせることができない場合があります。目が合わせられないので、ほかの子とコミュニケーションと取れずに一人遊びが多くなります。

子供は一般的に2~3歳で友達を意識した行動を取るようになります。しかし、自閉症の子は、友達への関心が薄く、自分本位で、一方的な関わり方になってしまいます。人見知りが極端に強いかと思うと、知らない人に急に話しかけるなど、急に突拍子もない行動を取ることがあります。

自閉症のものの見方として、顔を物に思い切り近づける、横目で見るなど、特殊な方法で見ることがあります。言葉の遅れも感じない、会話もそれなりにできるけれど、相手を見ずにずっと別の場所を向いている場合には、自閉症と診断される可能性も考えられます。そのような行動があった場合には、医療機関に相談に行くことで、適切な対処方法もわかり自身も安心できるでしょう。

親が悪くて自閉症になるわけではない

自閉症の子供の親には、自分達のしつけが悪かったのではないか、愛情が不足していたのではないかと考える人も少なからずいます。自閉症というのは、決して家庭環境が原因で起こるものではありません。脳のどの部分の障害であるかなど、まだわかっていない部分が多いのが現状です。

自閉症と言っても年齢や発達段階によっても、特徴は人それぞれです。目がしっかり合う人もいれば、合わない人もいます。見た目にはさっぱり特徴が現れないこともあります。ひとつキーワードとして「異常なこだわり」ということを意識していると、ほかの子供との違いに気づくかもしれません。現在では、早期治療によって、障害を軽減させることができるようになっています。

もし、自身の子供に発達障害があったとしても、決して自身を責めないようにしましょう。そして、医療機関で子供と自身のこれからのあり方を考えていくようにしましょう。

公開日:2016/08/08