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骨粗しょう症にも種類がある?その種類とは

骨粗しょう症は原因別に、原発性(一次性)骨粗しょう症と続発性(二次性)骨粗しょう症に分けられます。それぞれの原因と治療について解説します。

推定患者数は1300万人といわれる骨粗しょう症

私たちの体を支えている骨。骨は姿勢の維持や保護のほか、栄養の貯蔵の役割も担っています。そして、血液の主成分の血球を作り出しているのも骨です。

そんな骨の病気である骨粗しょう症の人が増えていることが問題となっていて、2011年、日本におけるその数は1300万人と推定。全国民の10人に1人以上の人が、この骨粗しょう症にかかっている計算になります。

変形や骨折の危険性

骨粗しょう症は、骨の強度である骨密度が低下し、弱くなる病気です。脆くなった骨は変形しやすくなったり、骨折しやすくなったりします。

私たちのあらゆる組織では、常に古い細胞が壊され、新しい細胞に置き換わっていますが、骨のような硬い組織でも、骨代謝と呼ばれる新陳代謝が行われています。骨粗しょう症は、骨組織が壊されるよりも、新しく作られる速度のほうが遅いときに発生します。

原発性骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は原因別に大きく2つの種類に分けられます。ひとつは原発性(一次性)骨粗しょう症と呼ばれる老化のような、原因となるほかの病気がないもので、この原発性骨粗しょう症に閉経後骨粗しょう症が含まれるように、女性の患者が多い傾向があります。

女性は閉経により、エストロゲン分泌量が低下、エストロゲンが減ると、骨が壊される速度が速くなり、骨密度が低下してしまいます。また、加齢により腎臓の機能が低下すると、ビタミンDを作る能力も低下します。ビタミンDにはカルシウムの吸収を高めるはたらきがあるため、その量が少なくなると、骨は脆くなってしまいます。

この体内のビタミンDが少なくなることによる骨粗しょう症は男女ともにかかる可能性があり、特に男性の場合は男性骨粗しょう症と呼ばれることもあります。骨粗しょう症の治療では、主にカルシウム製剤やビタミンD、骨吸収抑制薬などの投与が行われますが、閉経後の女性の場合、エストロゲンが投与されることもあります。

続発性骨粗しょう症とは

ほかの病気を原因としないものを原発性骨粗しょう症と呼ぶのに対し、糖尿病や関節リウマチなどほかのホルモン異常、また、先天性疾患などの病気、薬物の影響による骨粗しょう症を続発性(二次性)骨粗しょう症と呼んでいます。

続発性骨粗しょう症の場合、その原因となる病気を治療することが基本となります。薬剤が骨組織に悪影響を与えている場合は、ほかの薬剤に変更するなどの対処が行われることになります。

QOLを大きく低下させる骨粗しょう症

一般に、骨が脆くなる傾向には、遺伝的要素も関わっているとされ、近親者が骨粗しょう症の場合、注意が必要になります。原発性骨粗しょう症では、特に閉経後の女性の患者が多数となりますが、骨粗しょう症自体は男性でも、年齢を問わずかかる可能性があります。

1300万人と推定されるその患者数のうち、治療しているのはその2割程度だと考えられています。骨粗しょう症は、寝たきりの原因になるなど、QOL(Quality of Life)と呼ばれる生活の質を大きく低下させてしまう可能性があります。

カルシウムやビタミンD摂取などの日々の食生活、喫煙、多量の飲酒を控え、運動を心がけるようにしましょう。そして、背中が丸くなった、身長が縮んだような気がする、原因不明の腰痛などに心当たりがある人は、早めに医療機関を受診してください。

公開日:2016/03/22