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誤解していませんか?乾癬(かんせん)を正しく知ろう!

30代男性のよくみられる乾癬(かんせん)は赤く盛り上がった発疹ができる皮膚病の一つです。「かんせん」という名前から感染症と誤解されることもありますが他人にうつることはありません。乾癬の正しい知識を身につけましょう。

赤い発疹と、銀白色の鱗屑(りんせつ)がはがれ落ちるのが典型的な症状

乾癬(かんせん)は慢性の皮膚病の一つで、日本の患者数は約10万人と言われています。30代の男性でもっともよくみられますが、子供から高齢者まで、また女性でも発症します。
紅斑(こうはん)という盛り上がった赤い発疹ができ、その上に付いた銀白色の鱗屑(りんせつ)と呼ばれるフケのようものがポロポロとはがれ落ちるのが、乾癬の典型的な症状です。かゆみが生じることや、爪が変形することもあります。乾癬は皮膚症状の現れ方が異なるいくつかの種類がありますが、この紅斑や鱗屑などの典型的な症状が現れると尋常性(じんじょうせい)乾癬に分類されます。「尋常性」というのは「普通の」という意味で、乾癬患者の約9割がこの尋常性乾癬です。

発疹の数や大きさ、形、できる部位は様々ですが、肘、ひざ、腰、頭などに出やすいことが分かっています。尋常性乾癬のほかには、関節炎を伴う「関節症性乾癬」、発疹が全身にできる「乾癬性紅皮症」、喉の痛みが生じる扁桃腺炎の後に続いて滴状の小さな乾癬皮疹ができる「滴状乾癬」などがあります。症状の出方は人それぞれですが、決してほかの人にうつらないということは共通しています。

感染症ではないので、ほかの人には決してうつらない!

乾癬のはっきりした原因はまだ分かっていませんが、遺伝が関係していると考えられています。さらに、環境因子と呼ばれる不規則な生活、食習慣、ストレス、肥満、感染症、薬の影響などが加わることで発症すると言われています。発疹が出やすいのは、ストレスがかかったときや皮膚がこすれたとき、風邪や扁桃炎などにかかったときなどです。
「かんせん」という名前から感染症と誤解されることがありますが、細菌やウイルスが原因ではありません。発疹に触れても同じ風呂やプールに入っても、ほかの人には決してうつらないのです。

塗り薬、飲み薬、紫外線の照射、生物学的製剤などによる治療

乾癬の主な治療法は、以下の4種類です。どの治療法が行われるかは、症状の状態や治療効果の現れ方などによって決められ、単独で行われることもあれば、組み合わされることもあります。かゆみがあるときは、かゆみ止めを服用することもあります。慢性的な病気である乾癬は発疹が繰り返しできますが、治療によって長期にわたり発疹が出なくなるケースもあります。納得して治療を受けられるように、皮膚科医とよく相談しましょう。

乾癬の主な治療法

(1)外用療法

塗り薬による治療法です。炎症を抑えるステロイド外用薬や、表皮細胞の増殖を抑えるビタミンD3外用薬などを使用します。

(2)内服療法

飲み薬による治療法です。皮膚の新陳代謝をコントロールするレチノイド(ビタミンA誘導体)や、免疫反応を抑えるシクロスポリンなどを使用します。

(3)光線療法

紫外線を皮膚に当てる医療機器による治療法です。紫外線は太陽光線に含まれるので、日光を適度に浴びることも推奨されていますが、紫外線は皮膚がんを引き起こす作用もあるため、過度に日焼けをしないよう注意する必要があります。

(4)抗体療法

バイオテクノロジーの技術を用いて開発された、生物学的製剤による治療法です。生物学的製剤には、炎症にかかわる物質の働きを抑える作用があり、皮下注射または点滴での投与が行われます。

公開日:2016/02/22