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結局エナジードリンクは疲れに効くの?それとも危険?

飲むと元気になる?勝負のときはエナジードリンク!?ブームとなったエナジードリンクですが、いったいどんな成分が入っているのでしょうか。飲み続けていても大丈夫なのでしょうか。いまさら聞けないエナジードリンクの秘密に迫ります。

エナジードリンクの人気の秘密は、カフェインの目をさます作用や炭酸の爽快感など

結局エナジードリンクは疲れに効くの?

日々の暮らしでたびたびやって来る、くたくたに疲れる場面や、ここぞという踏ん張りどころ。そんなときに手を伸ばす定番の飲み物といえば、かつては栄養ドリンクでした。それに代わるものとして若い人を中心に人気なのが、エナジードリンクです。はっきりとした定義はありませんが、カフェイン、アルギニン、ビタミンなどの成分が入った炭酸飲料が、一般的にエナジードリンクと呼ばれています。

日本でエナジードリンクのブームに火がついたのは、海外の人気商品が販売され始めた2005年以降のこと。飲食店やコンビニなどでよくみかけるようになり、認知度とともに人気は右肩上がりになりました。ノンシュガータイプや女性向けのものなど、多様なニーズに合わせて商品のバリエーションは広がっています。目をさまし、集中力を高める作用のあるカフェインの量や、高麗人参、ガラナなど疲労回復が期待される独自の成分の有無で商品を選ぶ人も多いようです。

栄養ドリンクは「指定医薬部外品」、エナジードリンクは「清涼飲料水」

栄養ドリンクとエナジードリンクは似ているようで、実際には明確な違いがあります。それは、栄養ドリンクが「指定医薬部外品」に分類されるのに対して、エナジードリンクは「清涼飲料水」であるということ。この両者の違いが、含まれる成分や表示に影響を与えています。

栄養ドリンクとエナジードリンクの違い

  栄養ドリンク エナジードリンク
分類 指定医薬部外品
人の体への作用が、医薬品よりもおだやかなのが医薬部外品です。その中でも特に、以前は医薬品として用いられていた成分を含むものが指定医薬部外品です。
清涼飲料水
いわゆるソフトドリンクのことで、ミネラルウォーター、お茶、コーヒー飲料、果汁入りジュース、炭酸飲料などがすべて該当します。
成分 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「タウリン」という成分を含有させることが法律で認められています。多くの栄養ドリンクには、このタウリンが含まれています。 海外のエナジードリンクにはタウリンが含まれているものがありますが、日本では海外と同一ブランドの商品であっても、清涼飲料水であるエナジードリンクに使用することが法律で認められていません。そのため、日本の多くの商品では、タウリンの代わりにアルギニンというアミノ酸の一種が用いられています。
表示 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが、法律で認められています。 清涼飲料水であるエナジードリンクのパッケージでは栄養ドリンクのように、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが法律で認められていません。たとえエナジードリンクを飲んで「元気になった」と感じる人がいても、商品の表示として「疲れに効く」「効果・効能がある」とは言い表せません。

カフェインの摂りすぎにくれぐれも注意!最悪の場合、命にかかわることも…

清涼飲料水であるエナジードリンクに、医薬品のような副作用が現れる危険性はありません。ただし、飲みすぎてカフェインを過剰に摂取すると、次のような症状などが引き起こされることがあり、最悪の場合はカフェイン中毒となって命にかかわります

カフェインの過剰摂取で起きる恐れのある症状

  • ・不眠
  • ・頭痛
  • ・イライラ感
  • ・脱水症状
  • ・緊張感

…など

健康に悪い影響を及ぼさない1日あたりのカフェイン許容量は、健康な成人で400mgまで(内閣府食品安全委員会のファクトシートより)。このカフェインの量を、全国展開しているカフェのコーヒーで表すと、もっとも量の少ないショートサイズ3杯分です(1杯237mlあたりカフェイン約135mg)。妊婦や子供のほか、健康な成人であってもカフェインに弱い体質の方は、これより少ない量でも影響が出る恐れがあります。商品によって異なりますが、主なエナジードリンクのカフェイン量は1本あたり50~150mgほど。コーヒーや緑茶などの飲み物やカフェイン錠なども利用する場合は特に、カフェインの過剰摂取にならないよう注意が必要です。

血糖値が高めの方やダイエット中の方は、ジュースなどと同様、エナジードリンクによる糖質の摂りすぎにも気をつけましょう。パッケージに表示されている炭水化物は糖質とみなせるので、「100mlあたりの炭水化物10g」と書かれた1本250mlのエナジードリンクを飲めば、25gの糖質を摂ることになります。これは、角砂糖を6個かじっているのと同じことなのです(角砂糖1個を4gと想定)。「糖質は気になるけれど、エナジードリンクは飲みたい」という方は、飲む量を少なくするか、糖質ゼロと書かれているタイプを選ぶと良いでしょう。

エナジードリンクは好きな人にとって、元気をチャージしてくれて、生活に刺激を与えてくれる頼もしい存在です。栄養ドリンクとの違いを理解したうえで適度な量を守り、上手にエナジードリンクと付き合っていきましょう。

公開日:2016/01/18