2014年に日本では69年ぶりに感染が確認されたデング熱はデングウイルスに感染したヒトスジシマカなどを介して感染する病気です。デング熱に感染した場合の対処法や予防法についてご紹介します。
2014年に東京の代々木公園を中心として、8月以降に160名の感染が確認されたデング熱。主な流行地域は東南アジア・南アジア・中南米などとされていて、国内で流行したのは実に69年ぶりです。2013年8月に日本を訪れたドイツ人旅行者が、帰国後に発症したことで日本での感染が疑われ、注意が呼びかけられていましたが、多くの日本人にとっては聞き慣れない病気でした。
デング熱は、デングウイルスに感染したヒトスジシマカ(ヤブカ)や、海外にいるネッタイシマカという種類の蚊のメスに刺されてかかる感染症です。一般的に家の中にいるアカイエカいう種類に刺されても感染はせず、また人から人へ感染することもありません。
感染してから2~15日、多くの場合は3~7日で現れるのが、下記の初期症状です。体内のウイルスは1週間ほどで消失し、それに伴い症状も治まります。ただし、重症化してショック状態になると、最悪の場合は命に関わることもあります。重症のデング熱が疑われる場合は、採血による検査が行われます。
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デング熱患者の赤い発疹
デング熱を根本から治すような治療法は、まだありません。そのため、点滴による水分・栄養の補給や、高熱や痛みがある場合は解熱鎮痛剤などで、症状を抑える対症療法が行われます。ただし、市販の解熱鎮痛剤を服用すると、薬の種類によってはかえってデング熱の症状を悪化させてしまうことがあります。自己判断はせず、医師に相談しましょう。
感染症の中には一度かかると免疫ができて、その後は二度とかからないものがありますが、デング熱には当てはまりません。デングウイルスには複数の型があり、一度かかるとその原因となった型のウイルスには感染しなくなりますが、他の型による感染は起きます。むしろ、二度目以降の感染は重症になりやすいと言われています。
デング熱のワクチンは開発中ですが、まだ実用化のめどはたっていません。そのためデング熱を予防するには、デングウイルスに感染している蚊に、できるだけ刺されないように注意するしかありません。
デングウイルスを媒介するヒトスジシマカは、夏場の日中に、屋外の草むらなどで活動します。そのため外出する際は、長そでや長ズボンで肌の露出を少なくし、虫よけスプレーや蚊取り線香、殺虫剤などを利用するのが有効です。色の濃いものに近づくという習性が蚊にはあるので、白色などの薄い色の洋服を身につけると、なお良いでしょう。
なお、蚊を手でたたきつぶすことはよくありますが、それによってデング熱に感染することはなく、水で洗い流せば何も問題はありません。
ヒトスジシマカの発生を防ぐのも、デング熱を予防するためには大切なことです。ヒトスジシマカは、水たまりに卵を産むため、水たまりをなくすことで、発生を防げます。特に、以下のような水たまりができやすいところは、特に注意が必要です。
ヒトスジシマカの成虫は気温が下がる秋には死んでしまうのに対して、卵は冬を越すことができます。季節を問わず、できるだけ水たまりができないように気をつけましょう。
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