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医師不足問題

都会にもお医者さんがいない!?もはや他人事ではない「医師不足問題」

医師不足問題

2008年9月、脳内出血を起こした出産間近の妊婦を、都内の7医療機関が受け入れ拒否。その後、妊婦が死亡した事件で、日本の医療危機があらためて浮き彫りにされた。患者の命と健康を守る医師が病院にいない…。今、医師不足は重大な問題に発展している。

はたして、医師はほんとうに不足しているのだろうか。厚生労働省の調査によると、2006年の医師数は27万7927人。人口1000人あたりに換算すると、2.2人だ。OECD加盟国平均の2.9人(2003年調査)をかなり下回っており、絶対数は少ないといえる。

じつをいうと、医師数自体は増加傾向にある。「厚生労働省 第1表医師数の年次推移,業務の種別」によると、2006年の医療施設に従事する医師数は10年前と比べると14.4%増加している。それにもかかわらず、医師不足は深刻化する一方だ。冒頭の事件のように、地方だけでなく都会でも問題になっているのが現実である。いったい、なぜ医師不足が叫ばれるようになったのだろう。

原因その1・医療制度の問題

直接の引き金になったのは、2004年にスタートした「新医師臨床研修制度」だ。それまでの「卒後臨床研修制度」では、臨床研修は“やるほうが望ましい”という努力規定にすぎなかったが、義務規定になったことで、すべての新卒者が2年以上の臨床研修を受けなければならないこととなった。

制度改訂のひとつの背景に、医師の専門化が進みすぎたことがある。かつての研修では、出身大学やその関連病院での単一診療科によるストレート方式による研修が多く、地域医療との接点が少なく、幅広い分野での臨床経験を積むことができなかった。このため、新制度では、内科・外科・救急部門などさまざまな診療科を研修し、幅広い診療能力が身に付けられる総合診療方式(スーパーローテイト)が導入された。

しかし、この新制度には落とし穴があった。研修医自身が研修先を全国から自由に選べるようになったことだ。その結果、研修医は、これまでの研修先であった大学病院やその関連病院に比べ、高給で迎え入れてくれる待遇のいい一般病院に集中し、研修医の大学病院離れが深刻化することになった。さらに、大学病院での研修医が減ったことで、大学病院はこれまで地域の自治体病院などに派遣していた医師を引き揚げざるを得ない状況に陥っている。

さらに、医療法で定められた医師の配置基準の改定や診療報酬(医療保険から病院に支払われるおカネ)の改定、病院の在院日数の短縮施策などさまざまな制度の改定がいわゆる。
これら制度の改定により、地方の病院や、ハードで医師が集まりにくい小児科、産科、麻酔科、救急外来などが、次々と縮小や閉鎖に追い込まれることとなったのだ。

医師数が減少する主な診療科

原因その2・医師の労働環境

医師不足問題

もうひとつの要因は、医師の労働環境だ。
月に何度も当直(仮眠をとり、急患があれば診療すること)をこなさなければならない勤務医の仕事はかなり過酷である。休みの日も呼び出しを受けたらただちに病院に駆けつけなければならないことも多い。診察の合間には事務処理もこなすなど、息つく間もない日々だ。そのうえ、医療過誤に対する社会の目が厳しくなり、裁判事件が後を絶たない。疲労困憊したあげく、病院を辞めて開業するケースが増加している。

また、女性医師の増加もひとつの原因となっている。医師国家試験合格者に占める女性の割合は今や3割だ。だが、家事や子育てと医師の仕事との両立はあまりにハードだ。このため30代を過ぎると、常勤医を辞める人が多いという。

原因その3・患者側の問題

患者の変化もまた、医師たちを追い詰めている。働く女性の増加で、夜間や休日に小児救急を訪れる親が急増。まるで24時間営業のコンビニエンスストアででもあるかのようだ。おかげで、当直医は仮眠をとる暇もなく、文字通り不眠不休の診察に追われている。
また、専門医志向が高まり、大病院に軽症患者が詰めかけるようになった。しかも、医師に暴言を吐いたり、無理な要求をつきつけたりする「モンスターペイシェント」も増えている。必死で働いても、感謝すらされない…。どんなに志の高い医師でも、これでは逃げ出したくなるのも当然かもしれない。

それでは、患者である私たちはどうすればいいのだろうか。医師の負担を減らすためには、まず、むやみに大病院を受診しないことだろう。総合的に診察してくれる地域の「かかりつけ医」を見つけ、日頃のちょっとした不調を診てもらう。いよいよ専門的な治療が必要になれば、紹介状を書いてもらい、より大きな病院に行けばよいのだ。
また、ふだんから健康管理に気を使い、病気を防ぐ努力も必要だ。生活習慣や栄養バランスを見直すだけでなく、さまざまな病気の知識も身に付けておこう。

いつでも、だれでも、保険で安く診察が受けられる日本の医療。だが、このまま医師不足が進めば、それも過去のものになってしまうかもしれない。医師不足にストップをかけるために、私たち患者もできることから始めていこう。

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