重いものを持ち上げたり、激しい運動をするなど、姿勢の変化のはずみに起こる「ぎっくり腰」。あの痛みから、「魔女の一撃」とも呼ばれます。早く治すコツとして、もっとも大切なのは安静にすることです。ぎっくり腰の予防と、回復を早める応急対処法を紹介します。
重いものを持ち上げたり、激しい運動をするなど、姿勢の変化のはずみに起こるぎっくり腰。西洋では「魔女の一撃」とも呼ばれるほど、急激に起こる強い痛みが特徴です。しかもイスから立ち上がるなどの日常的な動作でもその可能性はあるというから油断なりません。その痛みの原因は、急激な運動に耐えられずに起こる腰の筋肉の肉離れや腰椎ねんざで、運動不足によるところが大きいといわれています。
つまり、ぎっくり腰の予防は日常生活の姿勢と、腰の筋力強化にあるということです。日ごろから、腰痛体操などを取り入れましょう。
いざ痛みが起こってしまったときのために、その対処法はしっかりと頭に入れておきたいものです。まず痛みが起こったのが自宅なら、背骨にかかる負担を軽減させるためにすぐに横になりましょう。仰向けに寝て、ひざを曲げたり、ひざ下にクッションを置いて足を高くするのが最も楽な姿勢といわれています。または横向きに寝て、エビのようにおなかをまるめてひざを曲げてもよいでしょう。自分がいちばん楽な姿勢を保ちます。
仕事場や外出先で起こったときには、壁や柱などにもたれて呼吸を整え、落ち着いたら腰を下に垂直に落とすようにして動かないように固定し、ひざを軽く曲げてクッションのように衝撃を吸収させながら歩いて移動しましょう。このとき壁をつたいながら、カニのように横に歩くと少し痛みが楽になります。とにかく腰を動かさないことが鉄則です。
ぎっくり腰は通常2~3日あれば痛みが軽くなってきますが、その間痛みと格闘し続けるのはあまりにつらいものです。そこでねんざや打撲のときに行う応急処置の英語の頭文字を取った「RICE」の原則を使い、少しでも楽に、また回復を早めましょう。なかでもぎっくり腰に対しては「R(安静)」「I(冷却)」「C(圧迫・固定)」を自宅で行うことができます。
ぎっくり腰は、時間とともに痛みが落ち着き、お尻や足のしびれや感覚のまひなどがない場合には、そのまま安静にしていてもよいでしょう。ただし、発熱や吐き気などほかの症状がある場合には、ほかの病気が隠れている可能性もあるので、整形外科を受診して、レントゲン検査などを行い、原因を確定しましょう。カイロプラクティックや整骨院に行く場合も、まずは整形外科で原因を確定してからのほうが、適切な治療を受けることができます。
ただし、激しい痛みが残っている場合に無理に外出すると、かえって悪化することもあるので、注意が必要です。いずれにしても、魔女の一撃に対抗するには、日々の予防と起こったときの応急処置を忘れずに。