赤ちゃんは、肌のふれ合いによって安らぎを得ることができ、その心地よい刺激は心や体の発育にもよい影響を与えるといわれている。このコミュニケーションをマッサージとして応用したのが、ベビーマッサージだ。新米ママ、パパにも簡単にできて、赤ちゃんに与える影響は絶大。そのやり方と効用を紹介しよう。
子どもの頃、お腹が痛いとき、ママの手でやさしくさすってもらうことで、痛みが和らいだり、やさしく包むように抱いてもらうことで泣き止んだという経験を持つ人は多いだろう。実はこの発展型がベビーマッサージなのだ。やり方に特別な決まりはなく、1日10~15分程度、赤ちゃんが気持ちよいと感じるようにやさしくなでたり、さするだけでもよい。
ママが足を広げて座り、その間にバスタオルを敷き、赤ちゃんを寝かせる。動いてしまう場合は、赤ちゃんの動きにママが合わせてあげる。反応をよく見て、タッチの仕方を工夫しよう。
手のひら全体で、大きくゆっくりとした動きで、赤ちゃんの機嫌をうかがいながら。全体的に大きくゆっくりとして動きで行う。お腹は時計回りに大きく円を描くように。
足も全体を包み込むように、股関節から足先に向かってゆっくりとマッサージする。力の加減は、ママが自分のまぶたを押してみて、痛くない強さを目安に。足のつけ根や指先もていねいに。
背中は、うつぶせにして、肩からゆっくり背筋に沿ってマッサージする。手のひらをお椀のように丸めて、背中を軽くトントンする(タッピング)。お尻は大きく円を描くようにマッサージ。
赤ちゃんの肌は非常にデリケートなので、マッサージを行うときは指先だけでなく、手のひら全体で行うのがポイント。このとき、余計な摩擦で肌を傷つけないよう、手にはアーモンドオイルやグレープシードオイルなど肌への刺激が少ないオイルをたっぷりと手になじませて、赤ちゃんが抵抗を感じない箇所からはじめよう。
足のつけ根やお腹、背中など内側から外側に向かってやさしくゆっくりとマッサージすることで、次第に赤ちゃんもリラックスしてくる。続けることが大切なので、毎日の習慣にしたいものだが、あくまでも赤ちゃんのペースで、嫌がるときには無理をしないように。
実は妊娠3~4ヵ月頃、お腹の赤ちゃんにはすでに皮膚感覚があるといわれており、生後いちばん早く発達するのも皮膚だという。生後3~4ヵ月経つと、何でもすぐに口に持っていくようになるのも、肌や舌が最も発達し、得られる情報が多いからだ。そんな時期だからこそ、愛情を持ってマッサージしてあげることで、赤ちゃんの緊張感が次第に和らぎ、親子の信頼関係が深まっていく。また、マッサージによって筋肉の緊張がほぐれ、ストレスホルモンも減少するといわれている。
もちろんメンタル面の効果だけではない。ベビーマッサージには、血液の循環をよくしたり、呼吸を整え、呼吸器を丈夫にするといった効用がある。また、マッサージによって股関節や背骨などの関節がやわらかくなり、骨格の形成を促されるなど、バランスの良い体づくりにも役立つ。オイルを使ってのマッサージは、肌を乾燥から守ったり、消化を促し、お腹の調子を整えるなどの効用も。赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない要素がたくさん含まれているのだ。
言葉が通じない赤ちゃんとのコミュニケーションは、ときにイライラの元になるが、そんなときこそマッサージで赤ちゃんと呼吸を合わせたい。ベビーマッサージは赤ちゃんのためだけでなく、ママやパパにも大いに役立つのだ。
例えば、1日中世話に追われて疲れているママや、仕事に追われているパパを襲う夜泣き。その原因ははっきりとはわかっていないが、睡眠サイクルの乱れやストレスの関与がそのひとつであると指摘されている。ベビーマッサージによって赤ちゃんのストレスが減少すれば、夜泣きも軽くなり、パパやママのストレスも減るのだ。
また、毎日続けていくうちに、赤ちゃんの反応で体調がいいかどうかが次第にわかるようになってくる。体調を把握できるようになると、育児に余裕が出てくるようになり、赤ちゃんの安心感はさらに増すという相乗効果が得られるのだ。逆に、ママが育児ストレスを感じているときには、それが赤ちゃんにも伝わってしまい、ベビーマッサージの効果が得られなくなってしまう。そんなときは、パパの出番。ママとパパの連携プレーで、親子がふれ合う時間を増やしてみよう。育児が今よりもずっと楽しくなるはずだ。