疾患・特集

小さい女の子、ターナー症候群

なぜ?女の子だけに起こる病気

女の子だけに起こる病気、ターナー症候群

ターナー症候群とは、生まれつきの染色体異常が原因で女の子だけに起こる病気だ。
通常、ヒトの染色体は22対の常染色体にくわえ、性別を決める2対の「性染色体」がある。男の子なら性染色体は「XY」、女の子なら「XX」となるが、女の子の2対あるX染色体のうち1本が完全に欠けている、あるいは一部が欠けている状態で生まれてくる病気なのだ。「ターナー」とは、この病気についてはじめてまとめたアメリカの女医、ヘンリー・ターナーに由来している。

ふだんあまり耳にすることのない病名だが、ターナー症候群の発生頻度は 1,000~2,000人に1人と考えられており、先天的な病気の中では患者数が多い方だとされている。最も大きな特徴は、背が低いこと。そのため、周囲にくらべ目立って低身長の女の子がいる場合は、ターナー症候群を疑う必要がある。

「うちの子、身長が低いかも」と気づいたら

幼稚園や保育園、小学校入学時などに、親が自分の子どもをまわりとくらべて「うちの子、身長が低いかも?」と気づくことが多い。だが両親ともに身長が低い場合は遺伝と捉えたり、小さくても可愛いからと問題視しないことが多く、ターナー症候群であっても見過ごされがちだ。

しかし、ターナー症候群の場合は注意して観察すると、低身長以外にもいくつかの特徴が見受けられる。首のまわりの皮膚がたるんでいるためにヒダができる、肘から先の腕が外を向いている、第四指(いわゆる薬指)が短い、タレ目がち、などの外見的なものだ。遺伝などで低身長の女の子の場合にはこれらの身体的特徴は見られないことから、単なる低身長か、ターナー症候群かの診断がつきやすい。

適切な治療で、すくすく成長

小さな女の子がずっと元気で過ごせるように

治療の基本は、成長ホルモン・女性ホルモン・合併症のチェック、この3つだ。ターナー症候群は成長障害の一種として、成長ホルモン(注射)治療の対象となる。治療を受けずに過ごした女の子の平均最終身長は138cm、治療を受けた女の子では145cmという。その差7cmは見た目にも大きい。

また、思春期になっても体型が女性的にならず、友達は大人になっていくのに自分だけ子どもっぽいと悩む場合も多いという。生理がなく、妊娠に至らないケースも。適切なタイミングを見計らって、女性ホルモンを投与することも重要だ。 そして思春期以降には合併症として、高血圧、糖尿病などを発症しやすくなるため、定期的に医療機関を受診し、チェックを行う必要がある。

生まれつきの染色体異常という病気ではあるものの、ターナー症候群の女性は、知能は正常で、学歴は一般女性より高いという報告もある。性格的には優しいという一面も。親や医師の協力のもと、小さな女の子がずっと元気で過ごせるように、ターナー症候群という病気についての理解が広まってゆくことを願ってやまない。

公開日:2007年4月9日