疾患・特集

今、注目の健康食品「マカ」って何?

古くからアンデスで珍重された植物

マカ

天然の精力剤、女性の生理不順などに役立つ、美容によいなどと言われ注目を集める「マカ」。サプリメントなどの健康食品としてもよく売られている。マカ入りのお酒、なんていうのもあるらしい。

マカは、アンデスの高地で少なくとも2000年前には栽培されていた、カブによく似た球根状のハーブで、主に根の部分を利用する。15~16世紀のインカ文明では薬草として使われ、伝承医学では基礎体力の維持、疲労回復、滋養強壮、自己治癒力の向上などに役立つとされている。現在でもアンデスの農作物では最も高い栄養価を持ち、珍重されている。ペルーでは、乾燥させたマカを砕いて粉末にし、煮込み料理にふりかけたり、ヨーグルトやシリアルに混ぜたりして食べられている。

マカが栽培されている地域は、虫も菌も生きられないような酸素の薄い地上4,000m級の高地。富士山でも4,000mの高さがないことを考えれば、日本ではあり得ないほど厳しい気候条件にさらされてきた過酷な土地といえる。強風や酷寒、夜と昼の激しい気温差、強い紫外線に耐えてきた生命力の強い植物。ペルーの人たちを支えてきたマカに、人の健康や生命力に役立つ成分が多く含まれていても不思議ではない。

ペルーの高麗人参

ペルーで「アンデスの女王」と呼ばれるマカは、別名「アンデスの高麗人参」。つまり、強い滋養強壮力があるということだ。その理由は、マカに含まれるさまざまな成分をみるとよく分かる。
マカには、炭水化物やプロテイン、脂肪などのほか、必須アミノ酸がほとんど含まれているし、ビタミン、ミネラルも豊富だ。鉄分や亜鉛は他の根菜類の数倍から数十倍と言われる。

マカに含まれる主な栄養成分

  • ●炭水化物
  • ●プロテイン
  • ●脂肪
  • ●アミノ酸
  • ●食物繊維
  • ●ビタミンB群、ビタミンE
  • ●鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛
  • ●アルカロイド、サポニン、タンニン、イソチオシアネート、ステロール
  • ●脂肪酸(リノール酸、パルチミン酸、オレイン酸など

マカは天然の精力剤?

マカは天然の精力剤?

さまざまな栄養成分がぎゅっと詰まったマカ。なかでも、気になるのが、女性ホルモンや男性ホルモンに対する役割だろう。マウスを使った動物実験では、性行動が促進されるなどの効果が確かめられたが、人に対する実験については、効果が出た実験とそうでないものがある。ただし、ペルーでは伝承医学により、不妊症の夫婦の治療に用いられてきた実績があり、現代の研究者たちの間でも、ホルモン分泌が改善された男性や女性の例も多い。

分泌系のはたらきを正常に戻していくマカは、神経系に刺激を与える興奮剤であるバイアグラとは、そもそも作用の仕組みが違う。もし治療に用いるなら、効果が出るまで少なくとも2週間、服用期間としては1~3ヵ月は継続する必要がある。

男性、女性双方のホルモンを整える理由は、マカのアルカロイドやサポニン、カルシウム、ビタミンB群、マグネシウムなどが内分泌ホルモンの恒常性維持機能(ホメオスタシス)を高める効果があることが考えられる。そのほか、精子や卵子の生殖細胞の発育を促す亜鉛、精子の数を増やすアルギニン、卵子の受精率を高めるリジンが多く含まれている。

このようなホルモンへのはたらきがあることから、女性特有の悩みである、生理不順や生理痛、月経前症候群、更年期障害、貧血、冷え、肌荒れなどの改善にも役立つと言われる。

マカが役立つその他の健康効果

マカの豊富な栄養成分は、もちろんホルモンのはたらき以外にもさまざまな健康効果をもたらす。古くから認められてきた滋養強壮効果は、持久力を高めたり慢性疲労症候群の改善など。欧米では性機能強化のほかスタミナ維持のためのサプリメントとしても売られている。ゆっくり休養をとる時間もないまま日々疲労を蓄積させている、多忙な人には朗報かもしれない。
今後注目したいのは免疫力向上のはたらきだ。マウスによる実験では、ペルーのカエタノ大学薬学部、ミゲル・ F という研究者により、マカを2週間飲ませたマウスは、白血球の数が約1~2割、特にリンパ球の数が多くなっていたことが確かめられた。もし免疫力向上が確かなら、がんをはじめ、花粉症やアトピー性皮膚炎、ぜんそく、リウマチなどさまざまな免疫に関わる病気改善に役立つことが期待される。実際、ペルーでは結核や胃がんの治療などにも活用されている。今後の研究結果にぜひ注目していきたい健康食品だ。

公開日:2006年2月6日