「そわそわ、うろちょろ」が問題となるADHD。注意力欠陥や、走り回るなどの多動から、学習面や団体生活で不適応を起こしがち。いたずらに病気扱いせず、しっかり見守ってあげよう。
子どもがいろいろなものに好奇心を持ったり、元気に走り回ったりするのはあたりまえ。でも、「そわそわ」「うろちょろ」も度が過ぎると、勉強や集団生活に支障をきたしてしまう。
「ADHD(注意欠陥多動性障害)」は、知能に問題がないにもかかわらず、起こってしまう「適応の障害」だ。
傾向が目立ち始めるのは、保育園や幼稚園などに入る3~4歳頃。とくに男の子に多いとされている。
また最近、「家事や仕事をきちんとできない」「片付けられない」といった、大人のADHDの問題も注目を浴びるようになっている。
6つ以上当てはまり、6ヵ月以上にわたってしばしば見られる場合は要注意。
自宅での様子に該当事項が多ければ、学校での過ごし方を担任の先生やクラスメートに尋ねてみるとよいだろう。
※ただし、2つのタイプをあわせ持っていることも多い
実は、はっきりした原因はよくわかっていない。頭部外傷や脳炎の後遺症との説もあるが、最近では、中枢神経系の成熟障害や機能障害が原因という指摘も。
「基本的な生活習慣を躾けられていない」「愛情不足のため、他人の注意をひこうとしている」といった見方をされがちだが、簡単に決めつけることはできないので、慎重に対応したい。
たいていは年齢とともに落ち着いてくるものなので、過剰な心配は禁物。
また、安易にレッテルを貼ると、子どもの気持ちを傷つけ、自信を失わせてしまうことにもなりかねない。
子どもがどんな「やりにくさ」を抱えているのかしっかり見きわめ、上手に社会生活ができるよう、手助けしてあげることが大切だ。
ただ、学習面にあまりに大きな影響があらわれるなど、本人や周囲が困る場合は、早めに専門医に受診させよう。多くの場合、脳波検査やMRI(頭部断層撮影)で検査をしたのち、リタリンなどによる薬物治療がおこなわれる。
また、最近はADHDの子どものためのフリースクールも登場し始めている。 通常の学校に通いづらい場合は、こうした機関を利用するのもよいだろう。
大人のADHDの場合は、社会にうまく適応できないことから悩んだり、うつ状態に陥ることもある。こんなときは専門医を受診したり、自助グループに参加するなどして、問題を克服するのもひとつの手段だ。