疾患・特集

自転車でさっぱり!気になる肥満、生活習慣病

あちこちに春を感じる季節がやってきた。さて、せっかく出かけるなら、自転車でちょっと遠乗りというのはどうだろう?ストレス解消もさることながら、脚を使うことで心肺機能を高め、がんや脳卒中などの予防につながるのだ。

ストレス解消にぴったりのサイクリング

あちこちに春を感じる季節がやってきた。さて、せっかく出かけるなら、自転車でちょっと遠乗りというのはどうだろう?
自転車なら、途中で行き先を変更したり、面白そうな場所を見つけたら立ち止まることだってできる。気が向くままにどこへでも、自由に、好きな速さで好きなだけ進もう。そして、走った分だけ達成感を味わう。そう、自転車はストレス解消にぴったりなのだ。
ロンドン留学中に神経衰弱で悩まされていたことで有名な夏目漱石も、下宿屋のおかみさんに勧められサイクリングをしていた時期は、病状が改善したといわれている。

自転車が健康によいのは心肺機能を高めるから

自転車が健康によいのは、脚を鍛えるからだと思う人も多いかもしれない。しかし、実際には心肺機能を高める点に最大の健康効果がある。
日本人の三大死亡原因といえば、がんや心疾患(心臓病)、脳卒中。これらの病気を予防するために大切なのは、循環器と呼吸器のはたらきだ。脚力は、むしろこれら心肺機能を高めるエンジンとして重要なものなのだ。

脚には大きな筋肉が集中しているため、長い時間使い続けると、カロリーをたくさん消費する。そして、そのためには大量の酸素が必要なのだ。自転車をこぐことで、酸素を体内に取り込む呼吸器の機能が高められ、また、取り込んだ酸素やカロリーを心臓から遠い脚まで届けるために循環器が鍛えられていくというわけだ。

バイコロビクス(自転車健康法)に挑戦!

1975年に、自転車を使った健康法「バイコロビクス」の第一人者、(財)日本サイクリング協会の理事を務める、鳥山新一さんが作った目的別プログラムの一部を紹介しよう。

用意するもの

自転車、心拍計、腕時計

バイコロビクスの用意するもの 心拍計は3,000~20,000円くらいで市販されている

バイコロビクスの進め方

安全に実施するためには予備テストを行うこと。手軽とはいえ、急に無理な運動をすると体に負担がかかり、かえって健康を損ねてしまう。必ず、現在の自分の健康状態や心肺機能の測定をしておくこと。そのうえで、徐々にレベルを高めていこう。

バイコロビクスの進め方

目的別プログラム

ここで紹介している心拍数は最終目標なので、絶対に無理をしないでできる範囲からはじめよう。慣れてきたら徐々に心拍数を上げていこう。また、安全と効果のため、時間と頻度は必ず表の内容を守るように。

目的 最終目標心拍数 走行時間 走行頻度 %VO2max
最大酸素摂取量
がん予防プログラム 190-年齢30~60分3回/週75%
生活習慣病対策プログラム 180-年齢60分3回/週65%
肥満対策プログラム 150-年齢60分3回/週40%

健康づくりのための自転車の乗り方・選び方

基本的に、家にある自転車を使えばバイコロビクスはできる。しかし、いわゆるママチャリの場合、構造上の問題から、膝が十分に伸びなかったり、体重がお尻にかかり過ぎてしまいがち。手軽でよいのだが、ママチャリを利用するなら20分に1回くらいは休憩しよう
また、既製のものでは、自分の体型に合った自転車が見つかりにくいこともある。もし、新しく自転車を買う予定があるなら、体に余分な負担がかからないフィットネス用がオススメ。専門店なら、自分に合ったサイズを注文できる。

健康づくりのための自転車の乗り方・選び方

初期投資は少々高いかもしれないが、体も健康で、これまで見落としていた季節の移り変わりを感じられるなど、心身を豊かにできると思えば、安い買い物といえるのでは?

取材協力:(財)日本サイクリング協会 鳥山新一理事
参考文献:『シェイプアップ サイクリング』鳥山新一著・主婦の友社生活シリーズ

公開日:2004年3月22日