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桃こぼれ話

桃の原産国は中国。シルクロードを通じ、17世紀にはアメリカに伝わった。桃の歴史と、桃にまつわる中国の話、また食べごろや食べ方のコツなどを紹介する。

桃のルーツをたどる

中国で産まれた桃は「毛毛(もも)」といわれ、毛がいっぱい生えた硬い果肉で、形は先がとがったものだった。それが、中国からシルクロードで西域へ、そしてペルシャへ。さらに、古代オリエント一帯、ギリシャ、ローマにも伝わり、17世紀にはアメリカ大陸にまで伝わったとか。
中国から西へ行った桃は果肉が黄色くなり、現在、アメリカ・カリフォルニア州などで黄桃缶詰が生産され、世界中に輸出されている。

日本で現在のような桃がつくられるようになったのは明治時代。中国から伝わった品種から自然交雑し、明治32年に大久保重五郎が上海水蜜桃の系統の「白桃」を発見し、その後優良品種が相次ぎ産まれた。
白桃は日本独特の桃なのだ。

孫悟空も思わずつまみ食い!?

孫悟空が桃を盗み食い

古くから中国では桃は単なる果物ではなく、桃源郷の不老不死の「仙果」として考えられていた。
『西遊記』の中で、仕事もなくぶらぶらしていた孫悟空は天界の桃園・蟠桃園の管理をまかされた。その桃園には、3,600本の桃の木があり、手前の1,200本は3000年に一度実をつけ、それを食べると仙人になれ、真ん中の1,200本は6000年に一度実をつけ、それを食べると不老不死になり、一番奥の1,200本は9000年に一度実をつけ、それを食べると天地があらんかぎり生き長らえる、とされていた。
この桃を、西王母(中国で古くから信仰されている仙女)の誕生日を祝う会・蟠桃会で食べる慣わしとなっていたが、孫悟空が盗み食いをしてしまい、蟠桃会をめちゃくちゃにしてしまった。また、この西王母の誕生日は3月3日。日本では、桃の節句である。

桃太郎の「鬼」退治は、「厄」退治?

桃にまつわるこぼれ話をもうひとつ。
日本に伝わる「桃太郎」の話は鬼退治として有名だが、この鬼とは「厄」のことである、という説がある。中国では、古来桃には霊的な力があると考えられており、そこから邪気を払うために「桃」を使った話が生まれたようだ。
また、方位や時間を表す暦法に十二支というものがあるが、不吉なものは鬼門と呼ばれる方角(北東)からやってくるといわれている。この鬼門とは、ちょうど十二支の牛・寅の方角であり、桃太郎に登場する鬼は牛のような角をもち、寅のパンツをはいているのだとか。
桃は日本の昔話でも大活躍である。

桃の選び方&食べるコツ

さて、そろそろ桃が食べたくなった方へ。桃の選び方と食べるコツを知っていると、さらにおいしく桃が食べられる!

桃の旬は夏!選ぶなら、傷のないものを

これほどスーパーで季節に関係なく、どんな野菜や果物でも手に入るようになったとは言っても、桃を夏以外の季節に見かけることは少ない。やはり、旬の時期に旬のものを食べるのが一番みずみずしくておいしいのだ!

桃は6月~9月初旬ごろに出回るが、本当においしい桃が出るのは、梅雨が明ける7月中旬ごろから。 形は左右対称で押し傷のない、成熟したものを選ぼう。食べごろかどうかの見分けは、ひっくり返して枝のついていた所まで色が回っていればOK。また、完熟すると匂いも強くなる。

食べ方のコツ

桃にレモン汁をかけると変色が防げる

皮をむいたらレモン汁をかけ変色を防ぐ 桃は生で食べることが多いが、夏に食べるからと言って冷蔵庫で冷やし過ぎると甘味が落ちてしまう。食べる2~3時間前に冷やす程度がよい。普段は常温において、完熟したものから順に食べていこう。

また、桃は皮をむいたりジュースにしておいておくと色が変わりやすい。これは桃に含まれるポリフェノールを酸化させる酵素があるためで、レモン汁をかけると変色が防げる。
ただし、桃は食べ過ぎるとお腹がはったり下痢をするので、要注意。

桃をおいしく食べよう

  • ●旬の6月~9月初旬ごろのものを
  • ●特に梅雨明けがねらい目
  • ●形は左右対称で押し傷のない成熟したものを
  • ●ひっくり返して枝のついていたところまで色のあるものを
  • ●常温において、完熟したものから順に
  • ●食べる2~3時間前に冷やす
  • ●皮をむいたらレモン汁をかけ変色を防ぐ
公開日:2003年6月23日