白内障は現在のところ進行を止めたり治療するような薬はない。しかし、手術で劇的に見えるようになる。その手術の方法などを紹介する。
白内障の進行のしかたには個人差があり、2、3年で視力が0.01まで下がってしまう人もいれば、長期間ほとんど進行しないケースもある。
しかし残念ながら、一度濁った水晶体は、透明な状態に戻すことはできない。現在の治療には、点眼剤なども使われるが、これはあくまでも進行を遅らせるものであって、症状を軽くしたり進行を止めたりする効果はないようだ。
白内障は進行すると、視力が低下し、明暗を見分けることしかできなくなってしまう。しかし、明暗が判別できれば、網膜や視神経の光を感じる機能は失われていないので、白内障以外の病気がなければ水晶体の手術をすることで視力を取り戻すことはできるのだ!
※白内障の患者は高齢者も多いため、心臓病や糖尿病、また他の目の病気をかかえているケースもあり、白内障の手術ができるかどうかは主治医とよく相談してください。
手術をする・しないを決めるのは、生活するのに支障があるかどうかがひとつの判断材料になる。白内障の手術自体は緊急を要するものではないので、新聞や雑誌、テレビなどが見えにくくなった、運転免許証の更新ができなくなった、遠近感がない、などの煩わしさを感じるようになったら、手術の時期だと考えてみよう。
白内障の手術は、水晶体を取り除いて人工のレンズを入れるのが一般的な方法。
水晶体は、外側を包んでいるのうと呼ばれるふくろ状のものと、その内側にある内容物とに分けることができ、のうごと全部を取り出す「水晶体のう内摘出法」と内容物だけを取り出す「水晶体のう外摘出法」とがある。現在はのう外摘出法が主流で、なかでも「超音波乳化吸引法」と呼ばれる方法が一般化している。
角膜を3ミリほど切開して、細いストロー状の装置から超音波を発し、濁った水晶体の核をくだいて吸引する。次に残った皮質を吸引してきれいにし、人工の眼内レンズを入れる。
従来の方法と比較すると、切開する幅が小さくて済むため、目に対する負担が少なく、傷の治りも早くなる。場合によっては縫合しないこともあるほど。
水晶体の後のう(うしろの壁)を残して前のうを切開し、超音波で核を砕いて乳化させて吸引する。切開幅は3ミリほど(眼内レンズの種類による)。
切開部から眼内レンズを入れる。
レンズを挿入して固定する。3ミリ程度の切開部なら小さいため、傷口を縫合する必要はない。
加齢が原因で起こる白内障(老人性白内障)は、老化現象なので、残念ながら事前に予防することはできない。もちろん、進行のしかたには個人差があるため、急激に症状が進行する人もいれば、20年以上もそれほど進行しないで視力が保てる人もいる。
白内障の進行を遅くするためには、普段から目のケアを心がけよう。
ちなみに老化には細胞の酸化が関係していると考えられている。また、その原因は紫外線にあるとも。外出するときは紫外線をカットするメガネやサングラスをかけよう。
また、たばこも酸化に関係していると言われている。