アルコールにストレス、バランスの偏った食生活…。このように乱れた生活習慣によって発症率が増えると考えられている病気が、「十二指腸潰瘍」と「大腸ポリープ」。現在のところ男性に多い病気ではあるが、ストレスや食生活のバランスの乱れなどは、もはや男性の専売特許とはいえない感がある。他人事とは思わず、女性もご用心!
胃潰瘍とまとめて語られることの多い十二指腸潰瘍。どちらも男性に多い病気だが、胃潰瘍が40~50代の男性に多いのに対して、十二指腸潰瘍は20~40代の男性に多いのが特徴だ。
また自覚症状として出てくるものも、腹痛、胸焼け、嘔吐、ひどいときには吐血と、胃潰瘍とほぼ同じ。症状から見分けるポイントは、「いつ腹痛が起きるか」にある。食後に痛むなら胃潰瘍、空腹のときや夜中に痛むなら十二指腸潰瘍の疑いが強い。
痛みの程度は人によってさまざまで、ときに激痛を感じる人もいるが、痛みの強さと潰瘍の程度にはあまり関係がないようだ。治療も現在では大きな手術をすることは少なく、食事療法や投薬、内視鏡を使った治療ですますことができる。
ただ、潰瘍は再発しやすいという特徴を持つ。何度も繰り返さないためには、潰瘍になったら完治するまでキチンと治療を受け、生活習慣を見直していくことが肝心だ。
胃の中にヘリコバクター・ピロリ菌、通称「ピロリ菌」が発見され、これが潰瘍などの原因ではないかと考えられている。しかしながら、ピロリ菌がいても潰瘍ができない人もおり、ピロリ菌と潰瘍との因果関係はまだ解明されきれていない。
ただ、潰瘍になった人は例外なくピロリ菌に感染していること、ピロリ菌に感染していない人は潰瘍になりにくいこと、さらに潰瘍の治癒後に除菌してピロリ菌を取り除くと再発率が大きく下がることはわかっている。医師との相談が大切だが、潰瘍ができたことがある人は除菌しておくと良いかもしれない。
さて、ピロリ菌以外の原因として考えられる危険因子には次のようなものがある。
また、解熱剤などのクスリや他の病気による影響もある。男性が多い理由はハッキリわかっておらず、現在は、女性は出産などに備えてもともとストレスに強い体質になっているとか、男性のほうが社会的ストレスが多くなりやすいなどの仮説があるだけ。社会的ストレスの多少なら、今後は女性の潰瘍も増えてくるかもしれない。女性もご用心!
また、潰瘍が気になる人は、次の食品も控えた方がよい。
大腸ポリープとは、簡単にいうと大腸にできる吹き出物、イボ、コブのようなもの。40歳くらいから発症する人が増えはじめ、年齢があがるとともにできやすくなると言われている。男性のほうが約2倍も多いといわれ、さらに近年、患者数は増える傾向にある。
大腸ポリープは小さなものなら自覚症状はなく、健康診断などで見つかることがほとんど。この場合は特に治療せず、それ以上大きくなったり広がったりすることがないように定期的に経過観察をしていくだけで良いことも多い。また、大きさが5mm以上の場合は、内視鏡を使った簡単な方法で切り取ってしまう病院が多いようだ。
だが、ある程度に大きくなると、お腹が痛い、下痢をしやすい、お腹が張る、便が出にくい、便に血が混じるなどの症状が出る。しかも、これらの症状は大腸がんの場合にも見られるのだ。そう、怖いのはここ。一部の大腸ポリープは大腸がんへと進行する可能性を持っているのだ。特に、胃や小腸に100個以上もできたポリープは「消化管ポリボーシス」と呼ばれ、かなりの高率でがんへと進行することがわかっている。
一度でもできたことのある人は、体質や遺伝的にポリープができやすい可能性があるため、定期的に検査していくことが欠かせない。
大腸ポリープの原因は、まだはっきりわかっていない。男性のほうが多い理由も明解ではない。ただ、動物性脂肪や砂糖の摂り過ぎ、食物繊維の不足といった食生活のアンバランスが大きく関与していることは、まず間違いないとされている。また、便秘で大腸に便がたまっていると、それが発酵・腐敗して腸管を刺激し、ポリープをできやすくするとも考えられている。
さらに便秘を解消するために。